慶應義塾大学松原弘典研究室 コンゴ民主共和国「アカデックス小学校」プロジェクト2010

“日本人学生と現地の人の協働で建築をつくることは、どんな意味を持つのか。

今回の第二棟目の建設施工は、第一棟教室の前回施工に関する考察や分析を十分に踏まえた上で行った。

施工効率の向上

工具に関しては、日本製のこぎりや替え刃などを前回より多く持ち込むことで、作業の円滑化を計ることに成功した。前回、コンゴ製のこぎりとの性質の違いから、コンゴ人が日本製のこぎりをすぐに壊してしまうという報告があったためだ。一部のコンゴ人は日本製のこぎりの性質の違いを説明すれば、それをすぐに理解して使用できたが、やはり我々が持っていった相当数の日本製のこぎりが破損した。当初からビスなどの電動工具を必要とする建材は使用せず、全て現地の釘材を使用する設計をした為に、電気関連で困ることはなかった。

同時に分業施工体制も徹底した。例えば現地で手に入る釘は、慣れていない日本人の技術では打ち込むことが難しい。日本メンバーはブレース材やトタンを取り付ける作業において、必要部数の割り出しや現場実測をして木材を切り出す作業に従事した。それをコンゴ人が屋根の上で釘を打ち込み、取り付けていくという分業である。またコンゴ人は時折、設計から逸脱した施工を進めてしまうことがあるため、現場ではそれを管理することに細心の注意を払った。

真剣さに触れる場所

建築をつくることは、危険を回避しなければならないし、実現する為の資金もかかるため、真剣にならざるを得ない。しかし本プロジェクトにおいては、通常とは少し違う真剣度が求められている。コンゴで学生と現地の人の協働で建築をつくることには、一体どんな意味があったのだろうか。

二棟目の校舎完成後に現地で受けたインタビューで、松原弘典はこう述べている。「社会生活において建築をつくることは、大学で勉強として考える建築とは全く違う重みを持っている。大学で建設を、しかも海外でやる以上は、少しでもその重みに近づきたいと思う一方で、ビジネスの建設とは違うものを目指したいとも思う。それは結局“自分が真剣にやること”であり、“それを周りに見せていくこと”なのではないだろうか。日本人の真剣な姿をコンゴの人に見せることで、コンゴの人たちも真剣になってくれる。日本人同士でも、学校で見るのとは違う友人の真剣さを見ることになる。お互いを見ることで皆の真剣度が相乗効果で高まり、ある種のチームワークが生まれる。コンゴのような遠く離れた場所まで来ると、その効果はさらに高まる。こういった体験は、人生においてもなかなか経験できない、スリリングで知的に興奮できることではないか。」

2014年にアカデックス小学校の全校舎が完成するまでに、建設施工に関わる人、コンゴの子供達の教育に関わる人、その様子をそっと見守る地域の人々など、関わる人が次第に増えていく。このプロジェクトの活動の幅は更に広がっていくだろう。これから求められているのは、日本人とコンゴ人両方が共有出来るプロジェクトの目的を考えることだ。同じ目的を持つことでコミュニケーションを更に深め、参加する人に伝え拡げていくことが重要である。
(文責:近藤卓)

・慶應義塾大学SFC松原弘典研究室ブログ
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・「ORF2010」慶應義塾大学SFC Open Research Forum 2010
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・SDR2009入選案
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・[JDN]コンゴ民主共和国「アカデックス小学校」プロジェクト2009
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慶應義塾大学SFC コンゴ民主共和国「アカデックス小学校」プロジェクト

プロジェクト敷地 コンゴ民主共和国、キンシャサ、キンボンド
プロジェクト実施期間 2007年12月 ― 2014年
2010年渡航期間 2010年8月24日~9月8日
メンバー
慶應義塾大学SFC http://www.sfc.keio.ac.jp/
  • 現場での打ち合わせ現場での打ち合わせ
  • コンゴ人と共同家具製作コンゴ人と共同家具製作
  • 屋根のトタン取付け作業中にて屋根のトタン取付け作業中にて
  • 木材の切り出しの様子木材の切り出しの様子
  • プロジェクト関係者全員集合 プロジェクト関係者全員集合