本作品の原本は鎌倉時代末期に成立し、これまで「伊勢物語」が絵画化された絵巻の中で、着色された絵巻として最古であるとされている。
本作品は、「伊勢物語」の第27段の内容を詞書、第68段の内容が金銀泥による料紙装飾で描かれている。本作品の特徴的なところは、描かれている波の上に、文字が描かれている点である。これは葦手(あしで)と呼ばれ、平安時代から鎌倉時代にかけて流行したやまと絵技法の一つである。