本研究はあらゆる世代・性別・職種の人々に「自分の宝物」を尋ね撮影をし、それにまつわるエピソードを取材して一冊にまとめた写真集である。
「他人からすれば大したことのないものだが、自分にとってはとても特別なもの」を答えてもらうことによって、その人の深い想いを聞くことができた。また宝物という抽象的なテーマに対する多様な解釈から、現代を生きる人々の価値観や人生観が浮かび上がる作品となっている。
取材対象者は、あまり話したことがない人や初対面の人を選んだ。最初に宝物について尋ね、そのエピソードを聞いた後に撮影を行った。宝物に込められた想いや背景を写真で伝えることを目指し、単なる物撮りではなく、ストーリー性を意識した。文章作成においては、インタビュー内容を忠実に再現しつつ、「読者に読ませる」構成を心がけた。読点を多用せず、句点で文章を区切ることで、丁寧にじっくりと読んでもらえるよう配慮した。