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桑沢デザイン研究所の学校案内書が、「Creative Communication Award 2022」で最高位を受賞

専門学校「桑沢デザイン研究所」の学校案内パンフレット『桑沢デザイン研究所 2022年度 学校案内書』が 、国際的なアワード「Creative Communication Award 2022」の書籍/カタログ部門で最高位のBest of Bestを受賞しましたこのアワードは、グラフィックデザイン、コミュニケーション、広告、デジタルメディアについて創造性、卓越性、すぐれたアイデアをプロモーションすることを目的とした、国際的なクリエイティブコミュニケーションアワードです。受賞した案内書は、同研究所の卒業生でグラフィックデザインの企業「There There」に所属する渡辺和音さんがデザインを手がけました。本体をケースから少しずつ引き出していくと、パソコン上で文字列が選択されていくようなアニメーションを見ることができます。渡辺さんは受賞にあたり、「ネット上でのコミュニケーションが増え、現実とバーチャルの境があいまいになりつつあるなか、デジタルな動きをアナログ(紙や印刷物)で表現することで、デザインの可能性を追求しました。これからの学生がデザインに興味を持つきっかけになればと思います」とコメントしています。※画像は「Creative Communication Award 2022」公式サイトより
2023年1月18日(水)
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グッドデザイン・ニューホープ賞 最優秀賞は法政大卒の若手デザイナー

2022年12月3日、「グッドデザイン・ニューホープ賞」の結果が発表。最優秀賞には、家庭環境に問題を抱える若者をサポートするプロジェクト「第3の家族」が輝きました。受賞したのは法政大学デザイン工学部システムデザイン科既卒・奥村春香さんです。クリエイターを目指す専門学校・大学・大学院の学生や、卒業後間もない若手クリエイターを対象として今年度からスタートした「グッドデザイン・ニューホープ賞」。グッドデザイン賞を主催する日本デザイン振興会が「出会いたい。これからの世界をつくる新しい才能たちと。」をキーメッセージに、新たなクリエイティブ人材の発掘とキャリア蓄積を支援し、デザインを通じた新たな産業・文化の発展に寄与することを目的としています。 初年度となる今年は414件の応募があり91件が受賞。うち8件が最終審査へ進み、「第3の家族」プロジェクトほか7点が入賞しました。同賞の事務局および審査委員は、最優秀賞を含む91件の受賞者に対しワークショップや企業見学などの多様なプログラムへの参加機会を通じ、キャリア支援と継続的なサポートを提供していきます。グッドデザイン・ニューホープ賞 公式ホームページhttps://newhope.g-mark.org/award.html「第3の家族」プロジェクトhttps://daisan-kazoku.com/
2022年12月9日(金)
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第12回大阪成蹊全国アート&デザインコンペティション 受賞展が開催!

大阪府大阪市にある大阪成蹊大学が、今年で12回目の開催となる「大阪成蹊全国アート&デザインコンペティション」を開催。受賞作品が発表され、2022年12月11日(日)~12月25日(日)に同大学芸術学部棟(南館)1階のギャラリー「spaceB」にて展示・公開されます。このコンペティションは、高校生・中学生を対象に、「ワタシノセカイ」をテーマとして9月1日(木)~10月6日(木)の期間で幅広いジャンルのアート作品を応募。審査員には、イラストレーター・デザイナーで同大学 芸術学部 客員教授の黒田 潔さん、絵本作家・イラストレーターで同大学同学部客員教授の谷口智則さんなど、第一線で活躍するクリエイターであり大学で指導をする方たちが参加しました。合計1680点の応募作品の中から高校生の部、中学生の部それぞれの受賞作が発表。文部科学大臣賞/1点には、賞状・トロフィー・賞金20万円が贈られるほか、同大学の入学特別待遇生として入学金・4年間の学費が免除されます。ほか賞も充実。第一線で活躍するクリエイターに作品を見てもらえ、受賞すると進学のチャンスも広がる同コンペ。今高校1・2年生の方はぜひ受賞作品展を見に行って、来年応募してみてはいかがでしょうか。
2022年12月9日(金)
インタビュー

美大・デザイン系大学生に聞く、学生生活のリアル!(1)

進学を考える時に気になるのが、リアルな大学生活の様子。なかでもカリキュラムやイベントに特徴がある美大・デザイン系大学の様子は、外部からはわかりづらいもの。そこで「デザインノトビラ」では、実際に美大・デザイン系大学に通っている学生の皆さんを取材して、リアルな学生生活を聞いちゃいました!今回ご紹介するのは、東京都にある武蔵野美術大学(以下、ムサビ)の学生さんたち。2022年10月28日から30日まで開催される学園祭「武蔵野美術大学芸術祭2022 まうじゃないか」の準備に励む、「芸術祭実行委員会執行部」の方、4名にお話を伺い4回連載でお届けします!トップバッターは造形学部彫刻学科2年で芸術祭実行委員会執行部のSさんです。美大生の忙しい一日 ―― 学園祭(芸術祭)準備でお忙しい中、ありがとうございます!毎日、どんなスケジュールで生活しているのですか?一限がある日はそれに合わせて学校に行っており、ない日も昼休みからは学校で芸術祭準備をしています。放課後は週に数日バイトに行っているんですが、それがなくても執行部の業務を進めてから帰宅しています。その後も自宅で課題に取り組んだり、オンライン授業を受けたりするんです。午前の授業がない日も、芸術祭の準備活動を行う  ―― とても忙しくて、驚きました。そうですね。でも私が学んでいる彫刻は体力が大事なので、日付が変わる頃には就寝するよう心がけています。 ―― 制作のためにコンディションを整えてらっしゃるんですね。ちなみに、どんな講義が好きですか?日本国憲法を学ぶ講義です。著作権のことなどについて判例を見ながら詳しく学ぶことができ、今後クリエイターやアーティストとして生活することを考えている学生なら必見の授業だと思います。 ―― 将来のために制作以外もしっかり学ばれているのですね。サークルには入ってらっしゃいますか?サークルは、「学生広報局」というムサビを目指す高校生の支援をするサークルに所属しています。高校生の相談に乗ったり、大学生活を紹介する動画を作ったりしています。そして今は、芸術祭実行委員会執行部で芸術祭の準備活動もしています。準備活動は今、お昼休みの一時間と放課後は毎日行っていて、帰宅してからも作業することも多いですね。とはいえ学生の本分は勉強なので、できるだけ授業を欠席したりしないように頑張っています。 ―― ムサビに入ってみて感じる、一番の魅力はどんなところですか?ムサビの一番の魅力は、「なんでもできる」ところだと思います。他の美大よりも授業の幅も広く、教養科目と呼ぶのが惜しいほど専門的な知識を得ることができます。芸術祭実行委員会執行部や「旅するムサビプロジェクト」など、大学生という立場を目一杯活かせる活動もたくさんあります。もちろん制作まわりも充実しています。学内に画材店の「世界堂」があるから制作で足りないものをいつでも買いに行くことができ、アトリエは朝早くから夜遅くまで使えるんです。できあがった作品は、著名な作家でもある教授陣に見ていただけるという、本当に素晴らしい環境です。また、就職活動にも大学をあげて取り組んでおり、「美大は就職できない」という先入観を覆す高い就職率を誇っています。みんなで学園祭(芸術祭)をつくり上げる ―― 武蔵野美術大学の学園祭(芸術祭)は、毎年テーマに沿ってその世界観を作り上げ、美術大学の中でも国内最大級とうたわれていますね。ここからはその準備の様子を伺います。まず今年は3年ぶりにキャンパス現地での開催となりますが、どんなテーマなのでしょうか?テーマは「ええじゃないか」です。江戸の活気を受けて、コロナの収束を芸術を通して願うというコンセプトのもと決定しました。タイトルはMusashino Art Universityの略称「MAU(まう)」をかけて、「まうじゃないか」。皆でコロナ収束を共に願い、新しい芸術祭を楽しんでいただければ嬉しいです。武蔵野美術大学芸術祭2022「まうじゃないか」公式ポスター   ―― 学園祭(芸術祭)の準備で工夫したところ、そして、大変に感じたところをお教えください。私は全体をとりまとめる立場なので、部員全員ができる限り快適に活動できるように考えて動くことが多いです。作業を手伝ったり、参加者の対応をしたり、みんなが使う部屋を掃除したり。全体を見渡して人手の足りなさそうなところを手伝い、困っている部員に手を貸すことを心がけていました。大変だったのは、部員との考え方の違いをすり合わせることです。執行部にはムサビにある2学部両方の学生が所属していて、考え方がさまざまです。その隙間をどう埋めるか、とても苦労しました。でも、どの部員も、ものを作る人間としての信念をしっかり持っていて、ひとつのものをみんなで作り上げる達成感は格別でした!  ―― ありがとうございました。ムサビの皆さんの集大成、芸術祭「まうじゃないか」が本当に楽しみです。最後に、進路を考えている高校生へのメッセージをお願いします。私はもともと他大学志望で、2浪してムサビに入学しました。ムサビへの入学が決まった時、4年間全力で大学生活に取り組もうと決めたんです。大学は、自分で動かないと何かを得られない場所。つまり熱意があれば、きっと素晴らしい大学生活になると思います。頑張ってください!(取材・制作:JDN「デザインノトビラ」編集部)次の記事はこちら>【第2回】美大・デザイン系大学生に聞く、学生生活のリアル!(2)
2022年10月26日(水)
インタビュー

美大・デザイン系大学生に聞く、学生生活のリアル!(4)

進学を考える時に気になるのが、リアルな大学生活の様子。なかでもカリキュラムやイベントに特徴のある美大・デザイン系大学の様子は、外からでは分かりづらいもの。そこで「デザインノトビラ」では、実際に美大・デザイン系大学に通っている学生の皆さんを取材して、リアルな学生生活を聞いちゃいました!4回にわたり、武蔵野美術大学で学園祭(芸術祭)「まうじゃないか」の準備に励む、「芸術祭実行委員会執行部」の学生4名それぞれにお話を伺っています。今回のご登場は、造形学部工芸工業デザイン学科(以下、工デ)2年のRさんです。前回の記事はこちら>【第3回】美大・デザイン系大学生に聞く、学生生活のリアル!(3)ムサビの魅力は「多様性を認め合う」ところ ―― ここまでお話を伺ってきた皆さん、講義にバイトに学園祭(芸術祭)準備にと大変充実した生活ですね。Rさんは毎日、どんなスケジュールで生活しているのですか?1年生の時は午前中にキャンパスで必修の実技を履修していたので、早朝に起きていました。今は午前中にオンデマンドの授業を受けたあと、実技の授業に合わせて学校に行く生活です。帰宅時間はその日によってまちまちです。遅くまで学校に残って制作したり、バイトしたりする日もあれば、夕方に帰れる時もありますね。 ―― オンデマンドと実技と、両方の講義があるんですね。どんな講義が一番お好きですか?工房で制作する時間が一番好きです。やっぱり制作するために大学に入ったというところがあるので。工デは2年の9月から専攻に分かれ、今ようやく自分の好きな素材で制作ができています。座学の授業で印象的だったのは「文化講義」で、『ジョーズ』やマーベル作品など名作と言われる映画を分析的思考で鑑賞していくものです。映画の見方が180度変わりました。 ―― アルバイトやサークルはされていますか?アルバイトは授業がない日にたくさん入れていますが、今は執行部の活動が忙しいので週1回ほどです。サークルには入っていません。 ―― 入学して気づいた、ムサビの魅力はどんなところでしょうか?この大学の魅力の一つは、「多様性を認め合える」ところだと思います。人数も美大にしては多い方ですが、だからこそ、いろんな人がいて、それぞれ個性的だけれどその良さを面白がれるのがとても心地良いです。勉強や運動ができなくても、自分に素直な人が一番強いのがこの大学です。コロナ禍を経て3年ぶりのキャンパス開催となる学園祭 準備はすべてが手探り ―― いよいよ学園祭(芸術祭)が間近です。準備で苦労したことや、力を入れたのはどんなところでしょうか?コロナ禍が3年にわたったため、キャンパス開催を経験した学生が少なく、準備は過去の引継書や他大学の様子を見ながらすべて手探りでした。時にはくじけそうになりつつも、いろんな人の支えを感じながら頑張ってきました。私自身は、芸術祭実行委員会執行部のなかでも「広報部」として宣伝や制作物を担当しており、週1回Zoomまたは対面で班会と部会を行っています。会議の場で、分担して制作したものや作業の進捗確認をしているんです。制作物は最初から最後まで関わるのが基本なので、大学に入りたての1年生でもガンガン制作してもらっています。制作物を進める過程では、テーマからそれていないか何度も話し合いました。3年ぶりのキャンパス現地開催ということで宣伝に力を入れたい、テーマ「まうじゃないか」が示す前向きなイメージを体現したいとの思いからです。芸術祭公式サイトヴィジュアル 構内の告知物 納品されたDM  ―― 芸術祭の見どころを教えてください。くまなく見てほしいです。私は宣伝が主な仕事なので、開催できてたくさんの方にご来場していただけたらひとまず満足なのですが、学科の友人が当日行うフリマのために授業の合間をぬって制作したり、展示の準備をしたりしているのを間近で見ているので、お越しくださった方にはその熱量を感じてもらいたいんです。また、公式グッズは大学に入りたての一年生が一生懸命制作してくれたものですし、ポスターやDMはひと夏かけて議論を重ねたものです。学生みんなの、芸術祭にかけてきた思いを肌で感じてもらいたいです。 ―― ありがとうございました!10月28日からのムサビ芸術祭「まうじゃないか」を楽しみにしています!最後に、進路を考えている方にメッセージをお願いします。きっとこの記事を読んでくれている高校生などの方は、美大に進学しようか迷っていたり、興味はあるけれど一歩踏み出せていない人が多いのではと思います。私も含め、多くの美大生が同じように悩み抜いてこの大学にたどり着きました。美大に進むと将来の選択肢が狭まるように思えますが、特化した分野に秀でるからこそ希少価値が高いと、私は思っています。真剣に向き合えば、なんでもできるような大学なので、ちょっとでも興味があったら、まずは学園祭やオープンキャンパスなどで大学を訪れてみてください!(取材・制作:JDN「デザインノトビラ」編集部)
2022年10月26日(水)
インタビュー

美大・デザイン系大学生に聞く、学生生活のリアル!(3)

進学を考える時に気になるのが、リアルな大学生活の様子。なかでもカリキュラムやイベントに特徴がある美大・デザイン系大学の様子は、外部からではわかりづらいもの。そこで「デザインノトビラ」では、実際に美大・デザイン系大学に通っている学生の皆さんを取材して、リアルな学生生活を聞いちゃいました!第1回、第2回に引き続き、武蔵野美術大学(以下、ムサビ)で学園祭「武蔵野美術大学芸術祭2022 まうじゃないか」の準備に励む、「芸術祭実行委員会執行部」の方4名にお話を伺っています。今回ご紹介するのは、造形学部視覚伝達デザイン学科2年で実行委員会執行部のOさんです。前回の記事はこちら>【第2回】美大・デザイン系大学生に聞く、学生生活のリアル!(2)美大生になって、自分が知らなかった自分に出会えた ―― 執行部の皆さん、本当にお忙しいようですが、Oさんは今どんなスケジュールで学生生活を送られていますか?午前中の授業に合わせて大学に行き、授業や課題、芸術祭の準備をして帰宅すると、就寝するのは日付が変わった後ですね。芸術祭の準備は、空きコマ(自分が選択している講義と講義の合間)や放課後を利用して行っています。講義の合間を縫って行われる、芸術祭の準備  ―― 大学では、どんな講義がお好きですか?「写真演習」が好きです。座学では写真やカメラの仕組みと歴史を知ることができ、実習では、スタジオと暗室を使って本格的な撮影やフィルムの現像を体験できるのが魅力です。写真を撮る習慣ができると、これまで何気なく見ていた景色を観察する目で見られるようになりました。景色を眺めながら構図を考えるのがとても楽しく、他の制作にも、この経験はつながっていきそうです。 ―― アルバイトやサークル活動などはされていますか?テレビセットの装飾などを扱う会社でアルバイトをしています。私は収録現場で、床材や装飾を飾ったりバラしたりする部署に所属しています。芸術祭準備期間は少しお休みしていますが、それ以外は週に数日勤務しています。サークルは「東京五美術大学管弦楽団」という、東京の5つの美術大学からなるオーケストラサークルに所属しています。非公認ですが、ビリヤードサークルにも籍を置いています。また、友達と一緒に「ensemble」という演劇ユニットで演劇をつくっており、舞台美術を担当しています。3月にオリジナルの2.5次元作品の公演を予定していますので、ぜひ足をお運びください。 ―― ムサビに入ってみて、魅力を感じるのはどんなところですか?自分が知らなかった自分に出会えることです。さまざまな考えを持った人と出会い刺激しあう中で、自分のやりたいことも、自分自身が何者なのかも、少しずつわかっていくように感じます。授業が「手本通りにつくれることが目標」ではなく、課題のテーマ決めから自分で行い、たくさんリサーチや分析をした上で作品ができあがるのを目指すという、原点に立ち返って考える機会が多いのも理由の一つかと思います。また、どんな挑戦も馬鹿にされない環境もありがたいなと日々思っています。コロナ禍を経て、3年ぶりにキャンパスで開催する学園祭。エントランスに注目! ―― 学園祭(芸術祭)の準備段階では、どんなところに気を配りましたか?私はエントランス(※)の制作班長なのですが、ほかの班員を上手に巻き込めるように気をつけました。もともと一人で完結させたい性分なんです。でも今回は、なるべく抱え込まないように、誰かに任せられることがないか常に探して、積極的にお願いしています。また、班員や部員とのコミュニケーションは大変だなと感じました。学年も学科もさまざまで、特に授業期間が始まると、予定を合わせて会うのが難しくなっていきました。そんな中で、どうすれば集団としてのモチベーションを維持できるか考えていました。※芸術祭の期間中、入口に臨時設置される立体構造物チームでエントランス設営作業 エントランス仮設置の様子  ―― ムサビ芸術祭「まうじゃないか」の見どころを教えてください。正門を通ってすぐのエントランスを、ぜひくぐっていただきたいです。コロナ禍を経てキャンパスでの開催となった今年は、3年ぶりにエントランスが建つんです。3年前に来場者として見たエントランスを、今年はつくる側となり、エントランス班⻑として力を尽くした思い入れのあるものです。 ―― ありがとうございました。高校生をはじめ、美大・デザイン系大学への進学を考えているへのメッセージをお願いします!美大生は楽しいです。興味のあるものは、全部手を出してみると面白い未来が待っているかもしれません。高校生の頃は、自分が舞台美術をつくったり、エントランスのような建築に近いものを扱ったりするとは思いもよりませんでした。頑張ることも大事ですが、何より今を楽しんでください。(取材・制作:JDN「デザインノトビラ」編集部)次の記事はこちら>【第4回】美大・デザイン系大学生に聞く、学生生活のリアル!(4)
2022年10月26日(水)
インタビュー

美大・デザイン系大学生に聞く、学生生活のリアル!(2)

進学を考える時に気になるのが、リアルな大学生活の様子。なかでもカリキュラムやイベントに特徴がある美大・デザイン系大学の様子は、外部からではわかりづらいもの。そこで「デザインノトビラ」では、実際に美大・デザイン系大学に通っている学生の皆さんを取材して、リアルな学生生活を聞いちゃいました!第1回に引き続き、武蔵野美術大学(以下、ムサビ)で学園祭「武蔵野美術大学芸術祭2022 まうじゃないか」の準備に励む、「芸術祭実行委員会執行部」の方4名にお話を伺っています。2人目となる今回は、造形構想学部クリエイティブイノベーション学科2年で実行委員会執行部のYさんです。前回の記事はこちら>【第1回】美大・デザイン系大学生に聞く、学生生活のリアル!(1)やりたいことができる美大、ムサビ―― 学園祭(芸術祭)準備でお忙しい中、ありがとうございます!今は毎日、どんなスケジュールで生活しているのですか?高校生の頃と変わらない時間に学校に着いています。平日は毎日、午前中に学科の必修授業があるので大変ですね(笑)。今は基本的に講義が終わったらすぐ芸術祭実行委員会執行部(以下、執行部)の部屋に行って、書類をつくったりと芸術祭準備のあれこれをすすめ、いろいろ終わって寝るのは25時を過ぎてます。―― 朝早くから遅くまで、大変ですね。大学の講義では、どんなものが好きですか?「基礎造形」です。建築学科が開講しているのですが、建築に限らず、抽象的なものを視点としてさまざまな作品や作家、デザイナーを紹介する授業です。ゲスト講師による講義の回もとても面白いんですよ。 ―― 美大ならではですね。アルバイトやサークルもしているんですか?アルバイトは土曜日に、母校の中高でワークショップのファシリテーター的なことをしています。あと、バドミントンサークルに所属しています。 ―― ムサビの良さはどんなところだと思いますか?自由になんでも、やりたいことをやれること。それを冷たい目で見ない環境だと思います。そのような環境があるからこそ、つくる人たちは萎縮せず、奇抜なものだったり面白いものだったりをつくれるんだと思います!学園祭の全体を統一感あるものに。雰囲気まで楽しんでほしい! ―― 学園祭(芸術祭)の準備で、特に力を入れているのはどんなところですか?芸術祭を全体で統一感あるものにすることです。さまざまな要素……たとえばポスターやDMのような印刷物とエントランス(※)やオブジェなどの構造物で、色や雰囲気が異なると楽しんでもらえないと思い、それぞれの差異をなくすように頑張りました。※芸術祭の期間中、入口に設置される構造物 武蔵野美術大学芸術祭2022「まうじゃないか」公式ポスター 正門付近のオブジェ  ―― 学園祭(芸術祭)の見どころを教えてください。見どころは全部です!(笑)。つくったものに限らず、芸術祭をつくっているすべての学生の熱気、そして芸術祭自体の雰囲気を存分に堪能してください。 ―― 最後に、これから美大やデザイン系大学を目指す方にメッセージをお願いします。まずは1回でもいいので、都心からは少しばかり遠いムサビに足を運んでみてください。ぼくはクリエイティブイノベーション学科という、アートっぽくもデザインっぽくもない学科にいます。絵が描けなくても、デザインに触れたことがなくても、一般大学ではなかなか出会えないようなおもしろい人、モノ、文化に出会えると思います。(取材・制作:JDN「デザインノトビラ」編集部)次の記事はこちら>【第3回】美大・デザイン系大学生に聞く、学生生活のリアル!(3)
2022年10月26日(水)
インタビュー

多様な領域で活躍するデザイナーの「考える力」を鍛える。多摩美術大学統合デザイン学科での4年間

グラフィックやプロダクト、インターフェースなど、従来の領域の区分を取り払った新しいデザイン教育の場として、2014年に設立された多摩美術大学統合デザイン学科。日本を代表するプロダクトデザイナー・深澤直人さんが学科長を務める本学科は、第一線で活躍する講師陣による講義はもちろん、「デザイン」という考え方そのものを学び、実践するための力を身につける多様なカリキュラムが大きな特徴です。1・2年次では基礎科目として「デザインベーシック」を学び、3・4年次においてはゼミ形式の「プロジェクト」を通して、学生たちは課題と卒業制作に取り組んでいきます。「美しい社会を構想し具体化できるデザイナーを育てる」ことを目的に掲げる本学科の4年間を通して、学生たちはどのような力を身につけ、卒業後の進路に活かしていくのでしょうか?本学科のプロジェクトを担当するアートディレクター・クリエイティブディレクターの永井一史さんと、コグニティブデザイナーの菅俊一さんに、統合デザイン学科での学びの醍醐味をお聞きしました。<関連記事> 好奇心と美意識を育む、多摩美術大学統合デザイン学科の「教育のデザイン」とは?永井一史×菅俊一インタビュー(デザイン情報サイト「JDN」)「すべてはデザインである」からはじまる4年間の学び―本日は、多摩美術大学統合デザイン学科のカリキュラムについてお聞きできればと思います。まずは、おふたりのご経歴をお話しいただけますか?永井一史さん(以下、永井):僕は多摩美術大学のグラフィックデザイン学科を出てから博報堂に就職し、広告制作やコミュニケーションデザインの仕事をしてきました。その後、博報堂内の新しい組織でブランドコンサルティングを手がけるようになり、2003年に代表取締役として「HAKUHODO DESIGN」を設立し、現在はおもにブランディングの仕事をしています。永井一史(ながい かずふみ) HAKUHODO DESIGN代表取締役社長/アートディレクター/クリエイティブディレクター/多摩美術大学統合デザイン学科教授 1985年に多摩美術大学卒業後、株式会社博報堂入社。2003年には株式会社HAKUHODO DESIGNを設立。毎日デザイン賞、クリエイター・オブ・ザ・イヤー、ADC賞グランプリなど受賞多数。 https://www.hakuhodo-design.com/菅俊一さん(以下、菅):僕は慶応義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)で学部時代を過ごし、作曲や音響合成アルゴリズムの研究をしていました。その後、大学院でニューロサイエンスの知見を応用したアニメーション表現を研究し、卒業後は「ピープル」という知育玩具のメーカーで、乳幼児向けの知育玩具の研究企画開発に取り組んでいました。それと並行して、NHK Eテレの『0655/2355』の制作や、書籍の出版、作品展示などを行なっており、2014年に統合デザイン学科に着任し、現在にいたります。菅俊一(すげ しゅんいち) コグニティブデザイナー/多摩美術大学統合デザイン学科准教授 人間の知覚能力を基盤としたコグニティブデザインの考え方による行動や意志の領域のデザインを専門としており、近年は視線による共同注意を利用した、新しい誘導体験を生み出すための表現技術について探求している。https://syunichisuge.com―統合デザイン学科は、デザインを領域ごとに分けるのではなく、「統合されたデザイン」を学ぶことが大きな特徴です。とはいえ、これからデザインを学ぶ10代の学生にとっては、少し理解するのがむずかしいようにも思えるのですが、1年生にはどのように説明をされていますか?永井:いちばん最初の授業で、「すべてはデザインされている」という話をするようにしています。たとえば、このインタビューという場も、最終的なゴールである記事制作のプロセスとしてデザインされていますよね?学生たちがこれから取り組んでいく課題解決や、情報を集めることもデザインであり、具体的なかたちをつくることもデザインだということです。―菅先生はいかがでしょうか?菅:人間の知的な活動というのは、すべてデザインとして捉えられると思うんですね。仕事や生活を営む中で、考えたり、ものをつくったりすることのすべてにデザインは含まれています。ですので、分野としてデザインを学ぶのではなく、デザインという考え方そのものを学ぶことで、いままでわからなかったことがわかるようになりますし、それは世界を理解するためのツールにもなり得るという話をしています。―学生さんたちの反応はどうですか?永井:いきなり全部を理解するのはなかなかむずかしいとは思いますね。学生たちに「デザインってなんだと思う?」という質問を必ずしているんですが、「課題を解決することです」「幸せを生み出すことです」など、その時点で多様な意見が出てきます。学生たちには、4年間で知識を身につけて、自分なりの実感を持ってデザインのことを理解してもらえたらと思っています。菅:専門選択科目である「統合デザイン論」では、学科の先生方それぞれの考えによるデザインの話をしています。学生たちにとっては、いままで聞いたことのない視点ばかりだと思うんですが、1・2年次の基礎科目で手を動かしていく中で、先生方の言葉がわかるようになっていきます。そうやって、学生たちには入学前とはまったく違うデザインの考え方を身につけてほしいと考えています。目と手を鍛えるための基礎科目「デザインベーシック」―統合デザイン学科のカリキュラム についてお聞きしていきます。まずは1・2年次の「デザインベーシック」について教えていただけますか?菅:初年度の基礎教育である「デザインベーシックI」では、「見る=目を鍛える」「つくる=手を鍛える」ことを軸に科目を設定しています。グラフィック基礎・プロダクト基礎・インターフェース基礎・描写の4科目がありますが、基本的には平面で情報を扱う際のものの見方と、立体物の制作技術およびそれらの関係性を学んでいきます。たとえば、僕が担当しているインターフェース基礎は、「もの」と「もの」の境界について考えていく科目です。目で見る、皮膚で触るなど、人は感覚器を使ってどのように世界を把握しているのか、そして把握したものをどうやってアウトプットしているのか。そういったことを考えるための頭の使い方を学んでいきます。統合デザイン学科では「広く・深く」教えているので、異なる手法や技術を同時に学びながら、その中にある共通点や違いを知ることで、ものをつくる上での基本的な考え方や目線を徹底的に身につけることができます。2年次の「デザインベーシックII」では、具体的な表現技術を学んでいきます。文字の扱い方を学ぶ「タイポグラフィー」や、情報を集約して可視化する「ダイアグラム」、情報と身体をつなぐ関係を考える「インタラクション」、立体的な思考と造形技能を学ぶ「造形技法」など、3年次からはじまるゼミ形式の「プロジェクト」に取り組む上で必要な表現技術が網羅される構成になっています。―それぞれの科目を教える上で、学生たちに意識して伝えていることはありますか?菅:課題を出す前に、「これはなにを身につけるための課題なのか」をきちんと話すようにしています。学期末や年度末のタイミングでも、いままでやってきたことが何だったのかを振り返ることで、学生たちの頭の中で学んだ内容と体験が体系化されるような伝え方をしています。―学び方そのものをデザインしていくような感覚でしょうか。永井:それは意識していますね。俯瞰した視点でデザインを考えられることは統合デザインの「芯」でもあるので、講義で聞いた内容を、学生たち自身が演習を通して意味づけできるような、そんなカリキュラム構成になっていると思います。課題を通して自分自身のテーマを発見する「プロジェクト」と「卒業制作」永井プロジェクトの様子―3年次からは、ゼミ形式の「プロジェクト」を選択します。永井プロジェクトと菅プロジェクトには、どんな学生が集まりますか?永井:僕のプロジェクトでは、自ら課題を発見し、アイデアを考え具体的なかたちにし、それをきちんと伝えることができる人を目指しているので、そこに関心のある学生に来てもらうようにしています。―まずはどのような課題に取り組むのでしょうか?永井:抽象度の高い課題に取り組んでもらうことが多いですね。1・2年生までは明解なルールに基づいた課題が多いので、3年生になったタイミングで、課題の自由度を上げていきます。たとえば、「新しい光をデザインしなさい」という課題。これは、必ずしも「照明をつくりなさい」ということではないんです。光をどのように解釈し、どのような手段でかたちにするのかを考える課題で、「明るさ」を体験するための真っ暗なスペースをつくる学生もいれば、グラフィックや映像で光を表現する学生もいます。永井プロジェクトの学生の作品。「新しい光のデザイン」をテーマに、点字への理解や関心の入口となるトランプが制作された。永井:もちろん、突然抽象度が上がるので「なにをやったらいいんですか?」と悩む学生もいます。なので、まずは導入として「既存のものをかけ合わせて新しいものつくりなさい」という課題を先に出しています。組み合わせによって新しいものが生まれることをイニシエーション(通過儀礼)として体験してから、自由度が高い課題への準備をしてもらう感じですね。一方で、社会連携を取り入れた課題にも取り組んでもらっています。たとえば、今年度は上野毛にある「日本菓子専門学校」と連携して、五感についてリサーチしながら、新しいお菓子体験をデザインする課題に取り組みました。最終的には、日本菓子専門学校の方々に実際に食べられるお菓子として制作していただき、今年の11月には玉川高島屋S・Cでの展示を予定しています。―菅先生のプロジェクトはいかがですか?菅:僕自身が変なことをやっているので、ちょっと変わった学生が来ること多いんですけど(笑)、基本的には、僕が専門としている行動や判断の手がかりとなるデザイン=「コグニティブデザイン」に関心がある人が多いです。僕のプロジェクトでは、1・2年次では扱わなかったテーマの課題に取り組んでもらっていて、まずはこちらからフォーマットを指定するようにしています。たとえば、小さなレーザープロジェクターを使って、手をスクリーンにした場合の映像表現について考えてみる。通常は、平面の壁に映像を四角く投射しますが、手のような隆起した複雑な形状のものに光を当てる場合、映像表現はどのように変化するのか。学生にとってはいままで考えたことがないような特殊なフォーマットではあるんですが、条件があることで学生の創造性が発揮されるような課題を設定するようにしています。学生たちには、2週間に1回ぐらいのペースで次々と課題に取り組んでもらいながら、徐々にテーマの抽象度を上げていきます。その中で、自分がアイデアを出しやすいのはどんなフォーマットなのかを考えながら、自分自身の考え方そのものを意識できるようにしています。「手をスクリーンにした場合の映像表現」をテーマとした菅プロジェクトの様子菅プロジェクトでの作品発表の様子―4年次の卒業制作に取り組む上で、学生たちはどのようにテーマを決めていくのでしょうか?永井:3年次の課題を通して、自分の心に引っかかるものや、やってみたいと強く関心が持てることを発見してもらうようにしています。その後、4年次で取り組む卒業制作は、4年間の集大成であると同時に「社会への入口」という意味もあるので、現在の自分が社会に対して何を投げかけていきたいのかを起点にテーマを探してみてくださいと伝えています。菅:僕のプロジェクトの場合は、3年次から月に1度個人面談を実施していて、「好きなものは?」「おもしろいと思うものはなに?」と、ひたすら聞いています。別に追い詰めたいわけじゃないんですが(笑)、学生たちの多くは、自分がおもしろいと感じていること自体に気づいていなかったりもするので。「こんな本を読んでみるといいかもしれない」「こんな考え方をしてみたらどう?」など話をする中で、自分の興味に深く気づき、それを磨いていく中でテーマを見つけてもらうようにしています。多様な領域で活躍するための「考える力」永井プロジェクトでの発表中の様子―4年間の学びを通した学生たちの成長や変化の中で、印象的だったものはありますか?菅:たとえば、もともとデッサンがうまくてグラフィックデザイナーを目指していた学生が、プログラミングに興味を持ち、映像やゲームをつくりはじめ、卒業後にはそういった仕事に就いたことがあって。自分が好きなことを突き詰めていくプロセスが、この学科の学生らしいなと思いました。―卒業後の進路としてはどのような職種が多いのでしょうか?永井:メーカーや制作会社、広告会社に就職する学生もいますが、最近の傾向としては、コンサルティング会社に入る学生もいますね。社会のなかでデザインが求められる領域が広がってきていますし、あらゆる産業の人たちが創造的な人材を求めているということだと思います。菅:学科全体として、新しい商品やサービスを考える企画職に就く人が多いんじゃないかなと思います。もちろん、デザイナーになる学生もいますし、デザイン以外の分野でのびのびと自分の能力を活かしている学生もいます。ある特定の分野に就職するというより、ゼロから自分で何かをはじめたいとか、社会をよりよくするためのお手伝いがしたいなど、学科全体で共通するマインドがあるように感じています。我々がここで教えてきたのは、なにかを美しいと感じることや、物事を考える力であり、それはいろいろな場面で必要な能力だと思います。そういった人達が社会のさまざまな分野に増えていくことで、社会全体がよりよくなっていくのではないかと。今後もしかすると、別の分野で働いている統合デザイン学科の同級生同士が、一緒に仕事できることがあるかもしれないですよね。どこに行っても先輩がいるような状況も起こり得ますし、卒業生のつながりが広がっていくことで、社会に変化がもたらせるんじゃないかと考えています。―最後に、統合デザイン学科に興味のある学生に向けてメッセージをお願いします。永井:2000年代に入ってから、デザインが関わる領域はどんどん広がっているのと、さまざまな社会課題の解決のためにデザインが期待されていることも増えてきています。これからも拡張していくデザイン領域に興味のある方にはぜひ来てほしいですね。菅:何か新しいことをしたい気持ちや、好奇心が強い人には、それを満たすためのものが、統合デザイン学科にはあると思います。また、毎年開催しているオープンキャンパスでは、すべてのカリキュラムの課題作品を展示しているので、実際にみてもらうことで、統合デザイン学科で体験できる学びの多様さを感じてもらいたいですね。  撮影:加藤麻希 取材・文・編集:堀合俊博(a small good publishing)
2022年9月8日(木)
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卒業制作展
明星大学

明星大学デザイン学部デザイン学科 第5回卒業研究報告展

明星大学デザイン学部の「第5回 卒業研究報告展」は、2021年度に卒業する4年生が、4年間積み重ねた学びの成果を展示とプレゼンテーションで報告する展覧会イベントです。 今年の展覧会のキャッチコピーである「まなんで、むすんで、ひらめいて。」は、学生たちが授業や課題でたくさんのアイデアを求められたとき、それまでの「まなび」がヒントとなって実を「むすび」、新しい「ひらめき」に繋がった経験を表現した言葉です。この言葉の通り、4年間の学びを出し切った卒業研究が出揃いました。 展示する個々の研究成果はもちろん、展覧会ポスターやパンフレットのデザイン、展示会場構成、プレゼンテーションのタイムテーブルに至るまで学生たち自身の手で作り上げた展覧会です。 デザイン学部では、日常にある問題を発見し解決策を考える「企画力」と、それを的確に伝える「表現力」の融合が、社会とつながるデザインの力であると捉え、日々学びを深めています。学生一人ひとりが社会と向き合い、調査と分析から課題を明確にし、解決方法を提案する様子はもちろん、デザインの研究成果が非常に幅広い領域に広がっていることも、本展覧会の見どころです。
2022年5月16日(月)
インタビュー

デザイナーの仕事の魅力とは?これからデザインを学びたい人へのメッセージ

本サイト、「デザインノトビラ」のロゴデザインを手がけたクリエイターズクラブ「NEW」のインタビューシリーズ。ロゴのデザインプロセスから、NEWのメンバー4人にとってのデザインとの出会い、武蔵野美術大学での学生時代や卒業制作についてうかがった本シリーズの最後に、4人が感じるデザインの魅力や、これからデザインの世界へ足を踏み出そうとしている読者へのメッセージをお話しいただきました。   ――みなさんが感じるデザインの仕事ならではの魅力やおもしろさを教えてください。 藤谷力澄さん:デザインは誰かの依頼や期待に応えるという仕事だと思うので、誰かが考えた思いや熱量を自分たちの手でかたちにできるところにおもしろさを感じていますね。アイデアがかたちになり、それがまた誰かへと伝わっていくところにも楽しさがありますね。 沖田颯亜さん:私はまず、人に愛されるものをつくり出せるのがこの仕事の楽しさだと思います。それから、いままで気づかなかった新しい美意識に出会えることもとてもいいことだなと感じていて。自分が美しいと思うものに出会えることって、人生をより豊かにできると思います。なにかを美しいと思えるセンサーを自分の中にどれだけ増やすことができるかが、この豊かさに直結すると思ったんです。だから、そういう感覚を研ぎ澄ますことができるデザインは魅力的な仕事だと思います。山田十維さん:僕は自分たちが手がけたものをかたちとして表現できるところが、この仕事のいちばんの魅力だと思っています。自分がつくったものがこんなにもわかりやすく世の中に出る仕事って、意外に少ないと思うんですよね。デザイナーとして「自分はこれをやりました」と誇りをもって言えるので、それはデザインの仕事の醍醐味だと捉えています。 坂本俊太さん:思い返すと、僕は小学生の頃から物事をぼーっと考える癖があって、話を聞いていないと思われることが多かったんですが(笑)、いまはデザイナーになったことで、そのことを仕事にできているのがすごく嬉しいんですよね。ひたすら考えていても許される職業というか、しかもそれがかたちになることで誰かを幸せにできるので、そこがデザインの仕事のよさだなと思います。(左から)藤谷力澄さん、山田十維さん、沖田颯亜さん、坂本俊太さん ――これからデザイン系の学校を受けたい人や、迷っている人に対してのメッセージなどがあればお願いします。藤谷力澄さん:デザインはコミュニケーションのひとつで、たとえば声色や抑揚であったり、届ける相手との関係性によってどんな風に届けるかを考えることだと思うんですね。どのように届けるのかという答えは人それぞれで正解はないですし、ある意味ではどれも正しいと思うんです。美大はとにかく課題が多いので、目の前の課題を解決することに精一杯になってしまうこともあるかもしれませんが、何のためにデザインをやっているのか、その先にちゃんと相手がいることを忘れないで取り組むと、楽しめるんじゃないかと思います。沖田颯亜さん:私は、小さい頃は好きになれるものがあんまりなくて、それが自分の中ですごいコンプレックスだったんですね。好きなことがあればそのことに突っ走れるはずなのに、将来どうしようと思っていて……。でも、それって裏を返せばいろんなことにまんべんなく興味があるということなのかな、と考えるようになりました。もし学部選びで迷っている人がいたら、そうやって少し視点を変えてみることで、自分に合った道が見つかるかもしれません。興味がない分野でもシャットアウトせずに、まずはいろいろな場所に行ってみる。もしくはInstagramなどのSNSでもいいので、たくさんの先輩の作品に触れてみることはとてもいい刺激になると思います。山田十維さん:自分は学生時代からまったくデザインエリートじゃないと思っています。社会人になったいまでも自信を持ててないように思えます。これからデザインをはじめる人も、きっと自信がなくなることもあると思いますが、きっと大丈夫です。これは自分調べになってしまいますが、自分がとても尊敬しているデザイナーでも、ずっとつくるものに対して自信がないといっていました。ただ、それは僕から見ると、だからこそその不安を払拭するために何度も手直しをし、美しいデザインに仕上げているように感じています。 なので、自分に自信を持てる人も素敵ですが、持っていない人もそれが才能だと思い頑張って欲しいです。坂本俊太さん:デザインノトビラは、デザインを学びたいと考えている人のためのサイトだと思うので、この記事にたどり着く時点でデザインに向いている人だと思うんですね。その人は、これまでに褒められたことがある経験が、デザインに関係することだったんじゃないかなと。褒められるということは、社会の中で価値があるということだし、そのことをやった方がいいと思いますね。デザインの仕事は「よくなるために工夫すること」で、それはどんな仕事にも必要だし、学んでみて損はないですし、この道に進んで後悔はないと思います。NEW「NEW」 は、山田十維を中心に、沖田颯亜、藤谷力澄、坂本俊太の4名で活動しているクリエイターズクラブ。デザインをバックグランドとしつつ、様々な分野を掛け合わせながら活動している。モノやコトがあふれる時代を生きるクリエイターとして、人の行動や感情に寄り添う「新しさ」と真摯に向き合っている。 http://neeeew.jp/(上の写真左から)坂本俊太(さかもとしゅんた) 1993年生まれ。大阪府出身。武蔵野美術大学 基礎デザイン学科卒。instagram:@sakamotoshunta twitter:@skmtshnt山田十維(やまだとおい) 1994年生まれ。東京都出身。武蔵野美術大学 基礎デザイン学科卒業後、世界株式会社(CEKAI)を経て、2021年よりNEW inc.を設立。企業のブランディングやプロダクト開発に携わり、デザイナー・アートディレクター、時にはプロデューサーとして活動している。家業は、箱の設計を得意とする印刷加工会社。twitter:@neeeewjp沖田颯亜(おきだそうあ)1993年生まれ。東京都出身。武蔵野美術大学 基礎デザイン学科卒業。同年資生堂クリエイティブ本部に所属し、アートディレクターとして活動中。主に、ビューティーブランドや中国茶/クラフトビールなどの飲料系のパッケージを含めたコミニケーション全体のアートディレクションを手掛ける。 instagram:@soa.okida藤谷力澄(ふじたにりきと)1995年生まれ。東京都出身。武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科卒業。instagram:@rikitofujitani文:開洋美 写真:寺島由里佳 取材・編集:堀合俊博(JDN)
2022年4月1日(金)
インタビュー

武蔵野美術大学での思い出と、デザイナーとしての現在につながる4人の卒業制作とは?

「デザインノトビラ」のロゴデザインを手がけたクリエイターズクラブ「NEW」のインタビューシリーズ。ロゴデザインのプロセスから、4人のメンバーにとってのデザインとの出会いについてお聞きした前回に続き、本格的にデザインを学ぼうと武蔵野美術大学に進んだ4人の学生時代の思い出や、卒業制作についてお話いただきました。武蔵野美術大学での学生生活――みなさんは武蔵野美術大学出身ですが、大学選びの決め手は何だったのでしょうか? 沖田颯亜さん(以下、沖田):受験時の第一志望は東京藝術大学で、現役の時は藝大しか受けてなかったんです。浪人時代も第一志望は藝大にしていたんですが、やっぱりすごく大変で、第二志望として武蔵野美術大学を受けました。理由としては、両親がインテリアデザイナーと画家で、ふたりの出身大学だったことが大きいですね。結局武蔵野美術大学に進学したのですが、私が入学した基礎デザイン学科は、有名なデザイナーの方々が教授を務めていて、そこで学べるのであれば、グラフィックにしろプロダクトにしろ、まだ進路が決まっていなくても卒業後に目指すことができるのがこの学科の魅力だなと感じていました。沖田颯亜(おきだそうあ)さん 坂本俊太さん(以下、坂本):僕は大阪の吹田市出身なので、家から通える距離の学校を考えて、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)に入学しました。プロダクトやインテリアにも興味があったんですけど、将来のことを考えるとWebの方が道が開けるかなと思い、情報デザイン学科に入りました。 高校まではあまり知識がなかったのですが、大学に入ってからいろいろとデザインの世界が広がっていったんですよね。それこそ、いま僕は広告の会社にいますが、当時はそもそもデザインと広告が関係あるっていうことすらわかってなくて。同じ学科の友だちで、コピーライターになって広告に関わりたいというやつがいたんですけど、「なんで広告やりたいのにデザイン科に来たの?」って思うくらい、その頃は何も知らなくて(笑)。大学に入って本当にいろいろなことがわかっていった感じですね。坂本俊太(さかもとしゅんた)さん 坂本:そんな中で、2年生のときにグラフィックデザイナーの原研哉*さんの存在を知ったんです。原さんは、デザインだけじゃなく、いろんなプロジェクトの仕事をされていて、「デザインってじっくりと時間をかけて学ぶ価値のあることなんだな」とあらためて感じ、原さんが教えているムサビで学びたいと思うようになりました。僕はデッサンができないんですが、基礎デザイン学科はデッサンなしで編入できるのがよかったですね。*原研哉(はらけんや):日本デザインセンター代表取締役を務めるグラフィックデザイナー/アートディレクター。無印良品のアートディレクションや、松屋銀座、森ビル、蔦屋書店、GINZA SIX、ヤマト運輸のVIを手がけるほか、展覧会のディレクションや、写真・動画・文・編集を手がけるWebサイト「低空飛行」など、幅広いプロジェクトを手がける。おもな著書に『デザインのデザイン』(岩波書店、2003)、『日本のデザイン』(岩波新書、2011)、『白百』(中央公論新社、2018)など。 山田十維さん(以下、山田):僕は中学卒業後に5年制のデザイン系の高専に入って、3年次からムサビに編入しました。基礎デザイン学科を選んだのは、僕が好きだった「竹尾ペーパーショウ」をディレクションされている原先生が教授をされていたからですね。ちなみに藤谷とは高専から一緒でした。 藤谷力澄さん(以下、藤谷):僕は3人と学科が違って、高専卒業後は武蔵野美術大学の視覚伝達デザイン学科に編入しました。当時は、デザインの仕事に就きたいと思ってはいたものの、分野までは絞り込めていなかったので、イラストやアニメーションなど、幅広く学ぶことができる視デを選びました。 ――特に印象的だった授業はありましたか? 沖田:私は2年生の時に受けたプロダクトデザイナーの柴田文江先生の「形態論」がおもしろかったです。たとえば、「速い」と想像できる魚や自動車のフォルムについて考えたりする授業で、自分が「柔らかい」と思うかたちを石膏粘土でつくるという課題が出たんですが、いざ自分が考える柔らかいかたちをつくろうと思っても、なかなか思ったようにきれいなカーブが出せなかったり、すぐにはうまくいかないんですよね。そういった体験を身体に染み込ませる、とてもいい授業だったと思います。 坂本:僕は原先生のヴィジュアルコミュニケーションについての授業ですね。課題のテーマが「カフェ」だったので、「ぴったり100キロカロリーの食べ物しか置いていない店」をコンセプトに、模型からお店のネーミング、ロゴデザイン、書体設計まで、すべてつくったことが印象に残っています。あと、半分は原先生のファンとして受けていたところもあったので、授業でしか見ることができない原先生の仕事の裏側が垣間見れたのも興味深かったですね。 ――視覚伝達デザイン学科出身の藤谷さんはいかがですか? 藤谷:僕の学科は、代理店などで活躍されている現役のアートディレクターの方が講師としていらしていたのですが、その方が出す課題を2週間で作品として仕上げて提出する、という授業が印象的でしたね。とても大変でしたが、毎回講評いただけるので本当に身になったと思います。藤谷力澄(ふじたにりきと)さん  坂本:僕もその授業を取っていたことがあって、その授業がきっかけで就職活動で代理店を目指すようになりました。入学前の美大のイメージでは、ひとつの作品を仕上げるのに2〜3ヶ月ぐらいかけられると思っていたのですが、ムサビは「1週間でアイデアを出してつくってきてください」という授業がすごく多かったんですよね。そのときは「そんなの無理でしょ……」と思ったんですが、苦しみながらもなんとかやってみると、案外できるものだなぁって。実際に社会に出てみるとそんなことばかりなので、いまだにその経験は役に立っているかもしれないですね。卒業制作として取り組んだ4人の作品山田:僕が印象に残っていることといえば、やっぱり原先生のゼミですね。よく怒られてましたけどね(笑)。藤谷以外のこの3人は同じ原ゼミの生徒でした。原先生のゼミは特徴的で、はじめにゼミ生がそれぞれ気になる言葉を壁に貼り出して、その中からテーマを決めて作品をつくっていくんです。 山田十維(やまだとおい)さん 山田:僕たちのときは「生(なま)」というテーマでした。「live」という意味もあるし、生体しての「生」や「生々しい」「新鮮」など、本当に幅広く解釈できるテーマだったので、いろいろなアプローチがしやすかったですね。僕はこのテーマを、素材としての「生」と捉えて、大量生産・大量消費の象徴としての「缶」を、自分の手で素材に戻していくという過程を卒業制作にしました。コーラなどの空き缶を1,500個集めて、500個は紙やすりで削り、500個は圧縮してリサイクル前の状態である正方形にして、もう500個を溶かした状態にして並べる作品をつくりました。素材としての「生」をテーマに制作された山田さんの卒業制作  ――手を使って素材に戻していくというデザインプロセスには、どのように行き着いたのですか? 山田:作品のテーマをこの方向性にしようと思ったときに、「大量生産」といちばん対極にある「自分」を対比させるのがおもしろいんじゃないかと考えたんです。なので、その後の制作プロセスは結構すんなり決まりました。 ――原先生からの評価やフィードバックはいかがでしたか? 山田:正直プレゼンについては緊張していてあまり覚えていないのですが(笑)、最後は褒めてくれましたね。あと印象的だったのが、制作の過程で僕が「これは業者に頼みます」と言ったら、「業者“さん”と言いなさい」と言われたことでした。デザインの仕事は、業者さんを含めてたくさんの人と協働しながら進めるものなので、すべての人にきちんと敬意を持ちなさいということだったんだと思います。ゼミ時代はたくさん怒られましたが、原先生は一人ひとりのことをきちんとみてくれて、途中で脱落しないようにフォローしていただきましたね。 沖田:私の卒業制作は、「違和感から派生したファッション」という切り口の作品でした。アートディレクターとして制作できるような作品をつくりたいと思っていたので、フォトグラファーやモデルさんと一緒にビジュアルを制作することは先に決めていました。この作品では、ラップユニット「chelmico」のRachelちゃんにモデルをしていただいています。 私は「生」というテーマを解釈するにあたって、「生きていると実感するのはどんな時だろう」と考えて、傷ついた時に、SOSとして痛みを感じることもその証のひとつだなと思い、「傷口」を作品のモチーフにしました。その時に、人間が生まれてから最初にできる傷口って、へその緒だなと思ったんです。そこで、おへそや耳の穴などに包帯を巻くことで、人は違和感を感じるんだろうか? と考え、その違和感をビジュアル化した作品をつくりました。さらに、人間だけじゃなくて、ペットボトルや絵の具に絆創膏を巻くことで「もの」の傷を表現したり、靴やネックレス、チョーカーなどに傷口をつくることで、違和感をファッションに落とし込んだビジュアルを制作して、マガジンとしてまとめました。「傷口」をモチーフとした沖田さんの卒業制作坂本:僕は、一見「生」というテーマから遠いデジタルの情報に結びつけられないかなと考えて、聴診器で聞こえる自分の「心音」の周波数やリズムを、グラフィックパターンに変換してテキスタイルをデザインする装置をつくりました。心音って、自分ではコントロールできないですし、実はすごく「live」なデジタル情報だなと思ったんです。最初は心音を使ってシンフォニーみたいな音楽をつくることを考えていたんですが、聴診器を買ってみてゼミに持っていった時に、聴診器でみんなの心音を聞いていくと、「一人ひとり心音って違うんだな」ということに気づいて。単純に、ゼミのみんなが楽しそうに反応してくれるのもうれしかったですし、原ゼミの過去の作品は、詩的で彫刻的なものが多かったので、こういったみんなが盛り上がる作品をつくれば、ちょっと目立てるかなという気持ちもありましたね。そこから、個性を表すものとしてのファッションを連想して、心音をテキスタイルに落とし込む作品にしようと考えました。「MAX/MSP」という音楽のプログラミングにも使用されるソフトで制作しているのですが、僕はもともと音楽をつくったり、Webサイトを自分でつくることからデザインに触れるようになったので、この作品では、そういったいままで片足を突っ込んできた要素をうまく集めることができてよかったなと思っています。坂本さんの卒業制作「Pattern Per Heart」のビジュアル 坂本さんの卒業制作の展示風景  ――藤谷さんは視覚伝達デザイン科でどなたのゼミに所属されていたんですか? 藤谷:僕は新島実先生のゼミに所属していました。卒業制作に関しては、自分の気になることややりたいことを新島先生と面談しながら掘り下げつつ、最終的なテーマを決めて作品づくりにつなげるという流れでした。僕は、当時までの22年間で通ったことのある道をテーマに考えていて、たとえば通学路や友だちと出かけた時に通った道など、ケータイの画像やカレンダーからデータを抽出して、すべての歩行路を地図上にマッピングした映像作品を制作しました。単純に、自分がこの作品を通して視覚化して見てみたいなと思ったのが動機なのですが、これまでに歩いたことのある道だけを抽出することで、「自分が知っている世界ってこれだけなんだ」ということがわかるというか、自分の知っていることと知らないことが可視化されるような作品になるんじゃないかなと思ったんですね。僕は着実に何か一つをつくり上げることが好きなタイプなので、振り返ってみるとこの卒業制作のテーマにも表れていたと思いますし、いまの仕事への向き合い方も同じだなと感じています。クリエイターズクラブ「NEW」インタビュー(3)につづく
2022年4月1日(金)
インタビュー

デザインへの入り口はひとつじゃない。「デザインノトビラ」ロゴデザインに込めた思い

デザインを学び、将来を考えたい人のための情報サイトとしてオープンした「デザインノトビラ」。デザイン・クリエイティブを学ぶ楽しさを表現したカラフルなロゴデザインは、クリエイターズクラブ「NEW」が手がけています。武蔵野美術大学出身の4人のデザイナーによって結成された「NEW」のみなさんに、ロゴデザインのプロセスをはじめ、学生時代の思い出や卒業制作、これからデザイン・クリエイティブを学ぶ人に向けたメッセージをお話いただきました。デザインの世界へのトビラを表現した12種類のロゴデザイン――今回は「デザインノトビラ」のロゴをデザインしていただきありがとうございました!デザインノトビラは、これからデザイン・クリエイティブを学ぶ人へ向けた情報を発信するサイトなので、デザインの世界へと進むワクワク感を表現したデザインをお願いさせていただきました。依頼を受けてから、どのようにデザインを進めていきましたか?山田十維さん(以下、山田):NEWはいつも2人1組でプロジェクトに臨むことが多いのですが、実は今回はじめて全員一つずつ案を出し合ってつくってみました。採用していただけた僕の案のコンセプトは、「デザインを学ぶ人の第一歩」。しかも、サイト名が『デザインノトビラ』ということだったので、「入り口は一つじゃない」ということをいちばん表現したかったんです。 山田十維(やまだとおい) 1994年生まれ。東京都出身。武蔵野美術大学 基礎デザイン学科卒業後、世界株式会社(CEKAI)を経て、2021年よりNEW inc.を設立。 企業のブランディングやプロダクト開発に携わり、デザイナー・アートディレクター、時にはプロデューサーとして活動している。家業は、箱の設計を得意とする印刷加工会社。 ――本サイトでは、デザイン・クリエイティブの領域を12種類に分けて、各カテゴリごとの魅力を情報として発信していきたいことを打ち合わせでお話しさせていただきました。山田さんをはじめ、みなさん独自の“12ノトビラ”をデザインしていただきました。 山田:サイトのコンセプトを聞いて、たしかにデザインというひとつの世界ではあるものの、12の分野それぞれの“デザイン”が存在すると思ったので、一つの分野に対して一つずつロゴを考えていきました。かたちの意味合いとしては、扉のモチーフを「D」で表現して、「D」の外側の縁取りが変形するような、それぞれバラエティに富んだ12種類の分野をロゴデザインとして表現しています。 山田さんによるロゴデザインデザインプロセスとしては、本当にいろいろなかたちをたくさんつくり、それぞれの違いを12種類考えていくという作業を繰り返しながら、一つずつ検討してブラッシュアップしていきました。この作業にいちばん時間をかけましたね。  ――かたちを仕上げていく過程は、みなさんで話し合いながら進めていったのですか?山田:完成させるにあたって明確な答えがあるわけではないので、自分のセンスに頼るしかない部分がありました。メンバーのみんなに聞いてもそれぞれ意見がバラバラだったので、最後は自分の感覚でピンときたものの中で、いちばんきれいだと思うかたちを組み合わせていった感じですね。12個並んだときのかたちのと色のバランスも、最終的な判断材料になりました。ロゴデザインの試作案。完成までに何度も試行錯誤があったそう。――今回に限らず、デザイン制作中に4人で相談したり、話し合ったりはしますか?坂本俊太さん(以下、坂本):特に見せ合って話し合うことはしないですが、実際はみんなそれぞれが勝手に途中のデザインを見て、「これちょっと変だよね」とか聞かれてもないのに突っ込んだりはしますね(笑)。 坂本俊太(さかもとしゅんた) 1993年生まれ。大阪府出身。武蔵野美術大学 基礎デザイン学科卒業。 ――自由に言い合えるのも、信頼関係があるからこそですね。坂本:そうですね。最近はお互いの趣味や思考がわかりすぎて、「お前はそう言うと思ったよ」と返したり(笑)。 ――今回は山田さんの案に決定させていただきましたが、ご提案いただいたみなさんのデザインはどれもすばらしく、デザインノトビラのメンバーでもとても悩みました。それぞれのデザインについてもお聞きしたいです。 藤谷力澄さん(以下、藤谷):僕の案は、扉を開いたときに向こうの景色が少し見えているイメージで、扉の隙間をシンボリックに表現できないかなと考えてデザインしました。藤谷力澄(ふじたにりきと) 1995年生まれ。東京都出身。武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科卒業。 藤谷さんによるロゴデザイン沖田颯亜さん(以下、沖田):私はデザインの分野ってそれぞれ隣接していると思っていて、そのことに気づくことで、ほかの分野への興味や新しい発見につながることを表現しています。これは私の学生時代の実体験も踏まえていて、これからデザインを学ぶ人にもそんな体験をしてほしいと思いデザインしました。沖田さんによるロゴデザイン 進学前って、大学や専門学校にどんな学部があって、デザインにどんな分野があるかのかがわからなかったんですよね。でも、先生の話を聞いたり、自分で調べたりしながら、徐々に知らなかったデザインの世界を知っていく体験をしたので、ぼんやりとした状態がだんだん明確になっていく様子を表現しています。 沖田颯亜(おきだそうあ) 1993年生まれ。東京都出身。武蔵野美術大学 基礎デザイン学科卒業。同年資生堂クリエイティブ本部に所属し、アートディレクターとして活動中。主に、ビューティーブランドや中国茶/クラフトビールなどの飲料系のパッケージを含めたコミニケーション全体のアートディレクションを手掛ける。 坂本:僕が考えたのは迷路ですね。物事って、知れば知るほどわからなくもなっていくけれど、そのことにちょっとワクワクもする、みたいな感覚をデザインしています。それは学生にとっての進路に対してもいえることだと思うので、その感覚を迷路で表現してみました。坂本さんによるロゴデザイン ――みなさんそれぞれの案に違った方向性や魅力がありますね。山田さんや坂本さんの案は、おふたりの独特な造形感覚が表現されていて、沖田さんや藤谷さんの案は、グラフィカルなものとして美しく構築されている印象を受けました。 藤谷:今回は、最初にアイデアを持ち寄った段階で、4人の方向性がちょうどバラバラだったんですが、なんとなく近いアイデアの場合は少し離してみたり、バランスを取ったりしていますね。 沖田:「デザインノトビラ」なので、まずは“トビラ”をかたちとして使うかどうかがあったよね。 藤谷:うん。ほかの3人は素直にはやらないだろうし(笑)、結構飛ばしてくるなと予想していたので、僕はストレートに扉のイメージを使う方向で考えました。全部扉がモチーフになると偏ってしまうので、そこはバランスを考えながら。 ――編集部内で話し合った際には、どの案にも票が入っていました。最終的にはデザインを学ぶ楽しさを感じるロゴデザインにしたいなと、山田さんの案を選ばせていただきました。それぞれ今回のロゴデザインにあたっての考え方についてお話しいただきましたが、みなさんはデザインの際に常に心がけていることなどはありますか? 山田:僕はなるべく言語化しながらデザインしたいと思っているので、論理的にカチッと構築するデザインや、逆に抽象度の高いものであっても、なるべく言葉でわかりやすく表現できるように意識しながらデザインしていますね。 坂本:あ、逆に僕はこの時のテーマは「ノープラン」だった気がします。 山田:なんか坂本にはあるんですよね、自分の中での流行みたいなのが(笑)。 坂本:僕は普段いろいろと理詰めで考えちゃって縮こまってしまうタイプなので、ちょうどその時期にやっていた展示でも、もっと感覚的につくろうと考えていました。その後、やっぱりあんまりよくないかもと考え直したんですが(笑)。このロゴも、なんで色が青なんだろうとか思いますよね。山田:説明してくれよ(笑)。4人のデザインとの出会い――「デザインノトビラ」は、これからデザインを学ぼうと考えている人のためのサイトなので、みなさんにとってのデザインとの出会いをお聞きしたいなと思います。デザインに興味をもったきっかけはどんな体験でしたか? 坂本:僕は高校時代、音楽をつくったり漫画を描くのが好きで、卒業後に音楽をやっていきたいなと思っていたんですが、半年ぐらいで才能がないなと感じてしまい……。じゃあ漫画家を目指そうと思って、出版社に持ち込みをしていた時期もあったんですけど、なかなかうまくいかなくて。ただ、その頃に作品を発表するためにWebサイトをつくってみたり、AdobeのIllustratorで漫画のタイトル文字をつくってみたりしていて、だんだんそれが楽しくなってきたんですよね。いま思えば、それがデザインと出会ったきっかけだったと思います。沖田:私の最初のきっかけは、お小遣いを貯めて買った資生堂の「マジョリカ マジョルカ」のリップグロスでした。すごくパッケージデザインがかわいくて大切にしていて、嫌な掃除の時間の前や、母に怒られた後などに塗って癒されていたんです。私もそんな風にキュンとしてもらえるものをつくりたいと思い、高校に入ってからは美大志望一直線でした。 山田:僕は実家が特殊な印刷会社だったので、中学生ぐらいの頃からイベント会場の設営の手伝いなどに駆り出されていて、日常的にデザイナーさんが周りにいる状況だったんですよね。だから、世の中に溢れているものの背景には必ずデザイナーの存在があるということを自然と知っていて、自分がかっこいいと思ったものを誰がつくったのか、調べる癖がついていました。そうしていくうちに、デザインの仕事への憧れが生まれたんだと思います。 藤谷:僕は中学校のときの美術の授業ですね。環境問題についてのポスターをつくる授業があったのですが、そこで自分の描いた絵がはじめて褒められたのがすごく嬉しくて。絵を描くことって楽しいなと思ったのが、最初のきっかけです。 山田:藤谷とは高専が一緒だったので知ってるんですが、そのポスター実家のトイレに貼ってあったよね。いま思うとベタだけど蛇口と地球の絵に「節水!」って書いてあった(笑)。 藤谷:よく覚えてるね(笑)。大学生になってから中学校に行った時にも、まだ僕が描いたポスターが貼ってあって、嬉しかったな。クリエイターズクラブ「NEW」インタビュー(2)につづく
2022年4月1日(金)