全ての生物は遺伝子を運ぶ一時的な媒体に過ぎず、コピーを残す効率に優れた生物だけが淘汰されず今日まで存続してきたと考えられる。
人もまた、姿形は変わりながらも遺伝子を伝達する器である。
生物は長い時間の中で、生まれては消えを繰り返してきた。生活を装う繊維もまた同じである。人が生きていく限り繊維と人は変化を伴いながらも一体となり、この営みは続いていく。情報を伝える媒体の原点である「紙」を遺伝子と見立て、さまざまな紙の表情の変化を着衣とし、伝達する器と人の関係を表した。