進学を考える時に気になるのが、リアルな大学生活の様子。なかでもカリキュラムやイベントに特徴がある美大・デザイン系大学の様子は、外部からはわかりづらいもの。そこで「デザインノトビラ」では、実際に美大・デザイン系大学に通っている学生の皆さんを取材して、リアルな学生生活を聞いちゃいました!
今回ご紹介するのは、東京都にある武蔵野美術大学(以下、ムサビ)の学生さんたち。2022年10月28日から30日まで開催される学園祭「武蔵野美術大学芸術祭2022 まうじゃないか」の準備に励む、「芸術祭実行委員会執行部」の方、4名にお話を伺い4回連載でお届けします!
トップバッターは造形学部彫刻学科2年で芸術祭実行委員会執行部のSさんです。
美大生の忙しい一日
―― 学園祭(芸術祭)準備でお忙しい中、ありがとうございます!毎日、どんなスケジュールで生活しているのですか?
一限がある日はそれに合わせて学校に行っており、ない日も昼休みからは学校で芸術祭準備をしています。放課後は週に数日バイトに行っているんですが、それがなくても執行部の業務を進めてから帰宅しています。その後も自宅で課題に取り組んだり、オンライン授業を受けたりするんです。
午前の授業がない日も、芸術祭の準備活動を行う
―― とても忙しくて、驚きました。
そうですね。でも私が学んでいる彫刻は体力が大事なので、日付が変わる頃には就寝するよう心がけています。
―― 制作のためにコンディションを整えてらっしゃるんですね。ちなみに、どんな講義が好きですか?
日本国憲法を学ぶ講義です。著作権のことなどについて判例を見ながら詳しく学ぶことができ、今後クリエイターやアーティストとして生活することを考えている学生なら必見の授業だと思います。
―― 将来のために制作以外もしっかり学ばれているのですね。サークルには入ってらっしゃいますか?
サークルは、「学生広報局」というムサビを目指す高校生の支援をするサークルに所属しています。高校生の相談に乗ったり、大学生活を紹介する動画を作ったりしています。そして今は、芸術祭実行委員会執行部で芸術祭の準備活動もしています。
準備活動は今、お昼休みの一時間と放課後は毎日行っていて、帰宅してからも作業することも多いですね。とはいえ学生の本分は勉強なので、できるだけ授業を欠席したりしないように頑張っています。
―― ムサビに入ってみて感じる、一番の魅力はどんなところですか?
ムサビの一番の魅力は、「なんでもできる」ところだと思います。他の美大よりも授業の幅も広く、教養科目と呼ぶのが惜しいほど専門的な知識を得ることができます。芸術祭実行委員会執行部や「旅するムサビプロジェクト」など、大学生という立場を目一杯活かせる活動もたくさんあります。
もちろん制作まわりも充実しています。学内に画材店の「世界堂」があるから制作で足りないものをいつでも買いに行くことができ、アトリエは朝早くから夜遅くまで使えるんです。できあがった作品は、著名な作家でもある教授陣に見ていただけるという、本当に素晴らしい環境です。
また、就職活動にも大学をあげて取り組んでおり、「美大は就職できない」という先入観を覆す高い就職率を誇っています。
みんなで学園祭(芸術祭)をつくり上げる
―― 武蔵野美術大学の学園祭(芸術祭)は、毎年テーマに沿ってその世界観を作り上げ、美術大学の中でも国内最大級とうたわれていますね。ここからはその準備の様子を伺います。まず今年は3年ぶりにキャンパス現地での開催となりますが、どんなテーマなのでしょうか?
テーマは「ええじゃないか」です。江戸の活気を受けて、コロナの収束を芸術を通して願うというコンセプトのもと決定しました。タイトルはMusashino Art Universityの略称「MAU(まう)」をかけて、「まうじゃないか」。皆でコロナ収束を共に願い、新しい芸術祭を楽しんでいただければ嬉しいです。
武蔵野美術大学芸術祭2022「まうじゃないか」公式ポスター
―― 学園祭(芸術祭)の準備で工夫したところ、そして、大変に感じたところをお教えください。
私は全体をとりまとめる立場なので、部員全員ができる限り快適に活動できるように考えて動くことが多いです。作業を手伝ったり、参加者の対応をしたり、みんなが使う部屋を掃除したり。全体を見渡して人手の足りなさそうなところを手伝い、困っている部員に手を貸すことを心がけていました。
大変だったのは、部員との考え方の違いをすり合わせることです。執行部にはムサビにある2学部両方の学生が所属していて、考え方がさまざまです。その隙間をどう埋めるか、とても苦労しました。でも、どの部員も、ものを作る人間としての信念をしっかり持っていて、ひとつのものをみんなで作り上げる達成感は格別でした!
―― ありがとうございました。ムサビの皆さんの集大成、芸術祭「まうじゃないか」が本当に楽しみです。最後に、進路を考えている高校生へのメッセージをお願いします。
私はもともと他大学志望で、2浪してムサビに入学しました。ムサビへの入学が決まった時、4年間全力で大学生活に取り組もうと決めたんです。大学は、自分で動かないと何かを得られない場所。つまり熱意があれば、きっと素晴らしい大学生活になると思います。頑張ってください!
(取材・制作:JDN「デザインノトビラ」編集部)
次の記事はこちら>【第2回】美大・デザイン系大学生に聞く、学生生活のリアル!(2)
武蔵野美術大学芸術祭2022「まうじゃないか」
日時:2022年10月28日(金)~30 日(日)10:00~17:30(最終日18:00)
会場:東京都小平市小川町1-736 武蔵野美術大学 鷹の台キャンパス
入場:無料/予約制
予約方法:芸術祭公式サイトをご確認ください
https://geisai.jp/