デザイン・クリエイティブの学校を卒業し、クリエイターとして活躍する先輩を取り上げる「トビラの先輩インタビュー」。第2回目に登場するのは、プロダクトデザイナーでキャラクターデザインにも携わる有澤英飛さんです。
有澤さんは大阪芸術大学でデザインを学び、卒業後、玩具やテレビキャラクターなどの企画・デザインを行う株式会社プレックスに入社。誰もが知るヒーローコンテンツのスーツや武器などのデザインを手がけられてきました。
そんな有澤さんに、学生時代からデザイナーとして活躍されるまでのお話を伺いました。
デザイン・クリエイティブの学校を卒業し、クリエイターとして活躍する先輩を取り上げる「トビラの先輩インタビュー」。第2回目に登場するのは、プロダクトデザイナーでキャラクターデザインにも携わる有澤英飛さんです。
有澤さんは大阪芸術大学でデザインを学び、卒業後、玩具やテレビキャラクターなどの企画・デザインを行う株式会社プレックスに入社。誰もが知るヒーローコンテンツのスーツや武器などのデザインを手がけられてきました。
そんな有澤さんに、学生時代からデザイナーとして活躍されるまでのお話を伺いました。
――有澤さんの経歴と現在のお仕事内容を簡単に教えてください。
高校卒業後は大阪芸術大学のデザイン学科で、プロダクトデザインを専攻していました。2021年に新卒でプレックスに入社して、今はプランニング・デザイン部という部署でプロダクトデザインを担当しています。主には取引先のバンダイから発注を受けて、玩具などの企画提案を行っています。
――具体的にはどういったものを提案されるのですか?
僕はプランニング・デザイン部の「スーパーヒーローチーム」というところに所属していて、ヒーローシリーズものに関連するアイテムの企画提案が中心ですね。例えば番組劇中でヒーローが使用する武器やベルト、剣といった小道具のほか、バンダイのフィギュアや玩具などです。
仕事の流れとしては、発注がきたらまずは簡単なデザイン案をチーム内で出し合い、社内コンペを行います。そこで通った案をバンダイとの企画会議に持って行き、細かい調整を経てプレゼン用のデザイン案を作成します。
その後、版権元や映像制作会社との打ち合わせを行い、そこでブラッシュアップしたものを精密なデザイン画として描き、造形会社に制作してもらいます。
――有澤さんがデザインの仕事を意識されたのは、いつ頃だったのでしょう。
意識したのは高校の終わりくらいです。僕は中学、高校とあまり勉強が好きではなく、特に進路の希望もありませんでした。でもアニメを見たり絵を描いたりするのは子どもの頃から好きだったので、デザイン系の大学なら楽しいかもしれないと考えたんです。
偶然にも、通っていた高校の図書室の司書の方が大阪芸術大学の出身で、いろいろ話を聞くうちに行ってみたいと思うようになりました。そこで高校2年の終わり頃から、司書の方に教わってデッサンの練習を始めました。勉強は頭に入ってこなかったのにデッサンはとても楽しくて、当時はイラストを描く仕事に就きたいと思っていましたね。
――美術予備校には通わずにデッサンを学ばれたのですね。イラストからプロダクトデザインに専攻を変えたのは、何かきっかけがあったんですか?
大阪芸術大学では専攻を絞るのに1年間の猶予期間があり、ひと通り学んでみて2年生に上がるタイミングで決めることができます。最初はイラストかグラフィックデザインで迷っていたのですがどちらもしっくりこず、純粋にいちばん楽しいと感じたプロダクトデザインを専攻しました。
専攻した時点では実は家具デザイナーに憧れがあり、大学3年生のときに大手家電メーカーのインターンシップにも参加しました。ところがプレッシャーから失敗してしまって。
自分が本当に好きなものはなんだろうと改めて考えてみたんです。そのときに、幼少期にアニメのおもちゃやプラモデルが好きだったことを思い出し、憧れよりも本当に好きなものを追求しようと玩具メーカーへの就職を決めました。僕自身子どもも大好きなので、子どもが笑顔になれるものをつくりたいと思ったことも大きな理由です。
遊び心を忘れないデザインを
――これまでに担当されたお仕事の中で、特に印象的だったものはありますか?
入社して間もない頃に、ヒーローと闘う敵が着用するスーツのデザインを任されたことがありました。僕の案がコンペで通ったのですが、そのときに初めて版権元との会議に出席し、最終的な造形チェックまでさせてもらいました。
一つの作品ができあがる過程を目の当たりにできたのは、とても感慨深かったですね。あがり症な性格の上に入社後すぐのことだったので、本当に自分の作品でいいのかなという不安もあったのですが、子どもの頃から親しんできた番組に自分の手がけたアイテムが登場したときは本当に感動して、両親にも連絡しました。
――それはうれしいですね。ヒーローもののアイテムのデザインということですが、デザインされるにあたって、苦労された点などはありましたか?
絵だけで見ると違和感なく見えるものも、実際に人が着るとなると細部の形状が気になったり、パーツ位置などがズレてしまったりするんです。当時はそういったことがまったくわかっておらず、実際にスーツとして再現されたときにマスクの覗き穴がおかしな位置にくるようなデザイン画を描いてしまったこともあります。2Dと3Dの違いに最初は苦労しましたが、とてもいい勉強になりました。
また、スーツアクターの方は僕がデザインした服を着て動き回ることになるので、できるだけ動きを邪魔しないようなデザインにも配慮しています。
――社内のアイデア出しはどんな雰囲気で進んでいくのですか?
チームにはだいたい10人弱のメンバーがいるのですが、最初は大喜利のような雰囲気で和気あいあいと進んでいきます。アイテムをつくるときは大前提となるテーマに沿ってデザイン案を考えるのですが、僕が常に意識しているのは遊び心を忘れないデザインです。
――例えばどのようなものがアイデアのもとになっているのでしょうか?
普段からいろいろ見るようにしていて、目に入ってくるあらゆるものがヒントになっています。例えば日常生活の中で電球がチカチカ点滅する様子だったり、街なかを歩いていて目についたおもしろい造形だったり、何気ない些細なことでも気になったものは心に留めておき、自分の中の引き出しを増やすようにしています。