全15ページの歩きながら読む巨大な漫画。
東京外かく環状道路(外環)・国道298号とその付近についてリサーチを行い、この道路を通るときの独特な雰囲気を掴み取ろうとした。
独特な雰囲気とは具体的にいうと私の幼い頃に遡り、ショッピングモールでおもちゃを買ってもらえなかった日母の自転車の後ろに乗って帰る途中で見た風景だ。自分の不機嫌も心も忘れて、まるで死んでしまったような…大きく、静かで、少し不気味、そんな雰囲気。当時欲しかったおもちゃがどういうものだったか最早思い出せないのに、その時に見た外環の景色を今もずっと覚えている。
ほとんどのコマを点描で描くことにこだわった。その理由は外環の下を通るとき自分と他者の境目が曖昧になっていたから。自分もおもちゃもみんな土粒の集まりで隔たりなんてない。全部自分で自分はどこにもいない、そんな土の集合をダイレクトに表現するために点描を一点一点打ち続けた。
2024年:第72回 東京藝術大学 卒業・修了作品展 買上賞
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