「雨」は自然が平衡状態の中で創り出す、極めて生命力に満ちた物質である。見かけは無形のように思えるが、実際には有形になる。雨粒が落ちることで形成される不規則な痕跡は、自然が大地の上に書き残す最も原始的な情報である。
本作は落水紙の制作方法を用い、自然の原始的な情報を記録した。これは単純に自然を表現するのではなく、自然と共に創作する手段を通じて、自然界で最も神秘的で不可思議な感動を探求するものである。私は1年かけて、毎日の天気状況に応じて紙パルプを調整し、室外に放置し、毎日の自然の変化により、紙には異なる痕跡が形成された。最終的に365枚の紙から雨の紙を選び出し、1年間の「雨の群像」を構築した。本作の根本は自然の奥に潜む原理と魅力を持続的に観察し、そこから引き出した情報表現の可能性を視覚化する実験的なアプローチである。これによって、自然の表情から溢れ出る力強さや情報を体験してもらいたいと考えている。
2024年:第72回 東京藝術大学 卒業・修了作品展 デザインN賞
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