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多摩美術大学

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〒192-0394
東京都八王子市鑓水2-1723

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多摩美術大学

多摩美術大学がオルタナティブ・スペース「Up & Coming」を外苑前にオープン

学校法人多摩美術大学が、卒業後のアーティストキャリア形成支援と、これから躍進しようとしている新しく刺激的な才能と来場者との出会いを目的とした、オルタナティブ・スペース「Up & Coming」を東京・外苑前に2024年4月よりオープンします。同大学は、卒業後のアーティストキャリア形成支援を目的としたオルタナティブ・スペース「アキバタマビ21」を2010年から運営してきましたが、移転準備のため展覧会活動を休止していました。その運営方針を継承し、「Up & Coming」に名称を改めて新拠点にて再始動します。同スペースでは、展覧会の企画、展示設計、関連イベント企画、広報物やアーカイブ作成、アーティスト自身が手がける自己プロデュースのグループ展などが実施されるほか、アーティスト活動継続のためのヒントとなる情報提供などのサポートもおこなわれます。さまざまな団体との連携事業を展開することで、アートの受け手との関係性構築が目指されます。第1回目となる展覧会のテーマは「合図」。彫刻家の大石一貴、アーティストの齋藤春佳と張小船Boat ZHANGによる3人展が4月6日から5月12日までおこなわれます。また、3月31日には移転プレイベントとして、アーティストの石田尚志、O JUN、栗原一成と文化人類学者の中村寛の4名による「描くこと」をテーマとしたトークイベントが開催されます。初出:デザイン情報サイト「JDN」https://www.japandesign.ne.jp/news/2024/03/75770/
2024年3月27日(水)
コラム
多摩美術大学

「注目のデザイナー」を多く輩出する学校って? 出身校ランキングを発表!

「JDN」連動企画! コラム「注目のデザイナー」たちの出身校をランキングで紹介デザインに関わる情報を広く発信するサイト「JDN」で、20年以上続くコラム「注目のデザイナー」。デザインディレクターとして活躍する桐山登士樹さんが、毎月、旬のデザイナーをセレクトし、その方の代表作や直近の作品を紹介しています。これまでに登場したデザイナーは総勢290名以上(2023年9月時点)。デザイン業界の“いま”を知ることができ、現役のデザイナーたちもチェックしている人気コラムです。今回、デザインノトビラではJDN編集部と協力し、同コラムに登場したデザイナーの方々のうち2012年以降のみなさん(164名)の出身校をリストアップ。桐山さんが選ぶ「注目のデザイナー」を数多く輩出する学校とは、いったいどこなのでしょうか? 本記事では「総合ランキング」をご紹介します!総合ランキング、1位は武蔵野美術大学順位学校名掲載人数1位武蔵野美術大学11人2位多摩美術大学東京大学10人3位東京造形大学9人4位金沢美術工芸大学6人5位桑沢デザイン研究所東京藝術大学日本大学早稲田大学5人大学院を除いた大学・専門学校のランキング結果がこちら。最も多かった出身校は、武蔵野美術大学でした!ここからは、各学校出身の「注目のデザイナー」を、直近の更新順にピックアップしてご紹介していきます。まずは1位の武蔵野美術大学。登場したデザイナーは、国内外で空間デザインを軸に、家具・プロダクトなど多岐にわたるデザインを手掛ける山本大介さん(造形学科建築学科卒)のほか、古くから存在するメディアや素材から現代的なテクノロジーまで、さまざまな手法をかけ合わせて作品を生み出す後藤映則さん(視覚伝達デザイン学科卒)など11名。2人の作品は街中で見かけたことがあるという方もいるかもしれません。続いて、2位には多摩美術大学、東京大学が並びました。多摩美術大学からは、日本とフィンランドでテキスタイルを学んだテキスタイルデザイナーの氷室友里さん(テキスタイルデザイン専攻卒)、そして、環境に負荷を与えないデザインを模索するアートディレクター・グラフィックデザイナーの清水彩香さん(グラフィックデザイン学科卒)を含めた10名が登場しています。東京大学からは、建築・インスタレーション・都市まで幅広いジャンルで国際的に活動する建築・デザイン事務所のnoiz(メンバーのうち豊田啓介さん、酒井康介さんが工学部建築学科卒)など10名。実は、東京大学に「デザイン」と名のつく学科はありませんが、「注目のデザイナー」には建築家も含まれているためランクインしています。3位は東京造形大学。Eテレ「デザインあ 解散!コーナー」の企画制作で知られるグラフィックデザイナーの岡崎智弘さん(デザイン学科卒)のほか、9名が登場しました。続く4位は金沢美術工芸大学です。同校からは“心地よい革新”という視点のもと、多彩な領域でデザイン/クリエイティブディレクションを行う北川大輔さん(デザイン科卒)ほか6名のデザイナーが登場。そして5位にランクインしたのは4つの学校です。なかでも桑沢デザイン研究所は専門学校として唯一、5位以内にランクインしました。その桑沢デザイン研究所からは、プロダクトデザインの分野でミニマルな造形を追求し続けるインダストリアルデザイナーの渡辺弘明さん(リビングデザイン研究科卒)、そして東京藝術大学からは、椅子に魅せられた家具デザイナー・横田哲郎さん(デザイン科卒)。日本大学からは領域にこだわらないデザインを手がけるプロダクトデザイナーの大沼敦さん(デザイン学科卒)、早稲田大学からはプロジェクトデザイナー/プロデューサー/知財ハンターといういろいろな顔を持つ出村光世さん(経営システム工学科卒)が登場しています。活躍するデザイナーをきっかけに、学校を調べてみよう!総合ランキング1~5位までの学校と、登場した「注目のデザイナー」の一部をご紹介しました。さまざまな領域で活躍するデザイナーのみなさんの出身校についてもっと知りたいという方は、デザインノトビラの「学校をさがす」ページから学校情報を調べることができます。また、ここで紹介しきれなかったデザイナーは他にもたくさんいます。これまでどんなデザイナーが活躍し、その人は学生時代にどんな環境で何を学んできたのかを知ることは、学校選びのヒントになるはず。ぜひJDNの「注目のデザイナー」もチェックしてみてくださいね!
2023年11月2日(木)
コラム
多摩美術大学

【10月・11月開催】美術系大学・学校のセンスが光る!学園祭ポスターまとめ

美大・デザイン系の学校の学園祭日程は、デザインノトビラ「イベントをさがす」ページから検索できます。ぜひ活用してみてくださいね!注目の学園祭ポスターを編集部がピックアップ!学年や学科・学びの領域を飛び越え、学生たちが自らの手でつくり上げる学園祭。とくに美大・デザイン系の学校においては、ものづくりを学ぶ学生の創造力が存分に発揮される一大イベントです。進学を考えているなら、志望校の色を知るためにも訪れない手はありません。今回は、そんな学園祭の楽しさや魅力を伝えるポスターに注目。2023年10月・11月に開催される学園祭のなかから、デザインノトビラ編集部がピックアップしたポスタービジュアルを、各学園祭の運営を担当する学生からのコメント・メッセージとともにご紹介します。わくわくするような、センスの光るポスターがこちら!桑沢デザイン研究所「桑沢祭」(10月7日・8日)【在学生よりコメント】■学園祭テーマ・コンセプト今年度の桑沢祭は「さがす・さぐる」をテーマに開催します!みなさんのご来校お待ちしております!■来場者のみなさんへ桑沢祭の目玉でもある学生によるファッションショーは、10月7日11:00〜・15:00〜、10月8日11:00〜の全3回実施します。ほかにも、スタンプラリーや桑沢生による作品販売の場「桑マート」、課題展示、大正ロマンカフェ、学内の作品コンペティション「桑沢グランプリ」、学生展示、イラストサークル展示、きぐるみ「さぐるん」 などなど、注目のプログラムが盛りだくさんです!※10月7日(土)13時までは桑沢デザイン研究所の学生のみ入場可能となります東京造形大学「Creative Spiral Festival」(10月13日~15日)【在学生よりコメント】■学園祭テーマ・コンセプト今年のテーマは「溢れんばかり。」です!“溢れんばかり”とは、所定の範囲に収まりきらず溢れそうなほどにたくさんある、または満ちている様子を表します。メインビジュアルの色鮮やかな色彩とさまざまなエレメンツは、アイデアが溢れ出た瞬間を表現しており、美術大学ならではのものとなっています。■来場者のみなさんへ学生たちのあり余るほどの情熱やアイデア満載の作品展示、マーケット、パフォーマンス、模擬店、イベントなどをご用意してみなさまをお待ちしています。ぜひご来場ください!武蔵野美術大学 芸術祭(10月27日~29日)【在学生よりコメント】■学園祭テーマ・コンセプト今年度のテーマはメキシコの伝統行事である「Dia de muertos(死者の日)」です。隔たれていた故人の魂を、1年に一度生者の世界へ楽しく迎え入れる死者の日のように、普段はムサビの外や美術の領域外にいる方を、美術の楽しさで迎え入れられる祭典にできるようにと願いを込めて決定しました。■来場者のみなさんへムサビ生の情熱と信念のこもった作品の数々を、現地で是非お楽しみください。この芸術祭で、みなさまに魂躍る作品との出会いがありますように!名古屋デザイナー学院「DESIGNERS market」(11月2日・3日) 【在学生よりコメント】■学園祭テーマ・コンセプト名古屋デザイナー学院のデザイナーズマーケットは「作品から商品へ」をコンセプトにし、学生からクリエイターへと意識を転換させる実践型の学園祭です。学科、学生それぞれの特性を活かし、デザインを提供・販売します。マーケットを通して消費者へ商品を届けることでクリエイターとしての考えやお金と時間の使い方を学ぶことを目的としています。■来場者のみなさんへサイバーパンク!平成回顧!童話の世界!さまざまな学科が趣向を凝らした企画でおもてなしします。イラスト展示!フォトスポット!クイズ!探偵!ギャル!?デコ!?ほかにも喜んでいただける企画をたくさん用意しています!将来デザイナー、クリエイターを目指す学生たちのつくるグラフィックやCG、イラスト、グッズ、洋服を生で「見る・買う・話す」ことができる貴重な機会です。ぜひご来場ください!愛知県立芸術大学「愛芸祭」(11月3日~5日)【在学生よりコメント】■学園祭テーマ・コンセプト愛芸祭2023のテーマは、「カオス~芸術の波、創造の渦~」です。音楽学部と美術学部、学生一人ひとりの個性、無数の自由な創造が混ざり合うカオス。それは時に波となり押し寄せ、渦となり人々を巻き込む。さまざまな場所で湧き起こるカオスに身を委ね、ここでしか味わえない芸術に浸ってみませんか。■来場者のみなさんへ自由に構成されたステージ、展示、演奏会。学生が自ら設計する模擬店。学生たちの豊かな個性によってつくり出される愛芸祭には、芸術に関心がある人も、そうでない人も、みんなが楽しめる企画が盛りだくさん。ぜひ遊びに来てください!多摩美術大学 芸術祭(11月3日~5日)【在学生よりコメント】■学園祭テーマ・コンセプト「さん、はいっ」こちらのテーマは、芸術祭という晴れ舞台で「作品や作家が日の目をみる、光に照らされること」をキーワードにして考案されました。「さん=sun」、「はいっ=high,Hi」といった意味合いを込めており、「さん、はいっ」の掛け声で一斉にジャンプするような元気さ、明るさ、楽しさで溢れる芸術祭になってほしいという願いも込めました。■来場者のみなさんへ多摩美術大学の芸術祭は、作品の展示や企画、模擬店やフリーマーケット、ライブパフォーマンスなど、たくさんの催しを一挙に楽しむことができるイベントです。2023年度はコロナ禍以前に近い形式での開催を目指し、飲食物の提供も行う方向で準備を進めています。学生たちの熱い思いを、ぜひとも体感していただきたいです!みなさまのご来場を、心よりお待ちしております。学園祭を調べよう!いかがでしたか?各学校の学園祭については「イベントをさがす」ページから検索できます。ぜひ活用してみてくださいね!こちらの記事もチェック! 【学園祭2023】美大・デザイン系学校の学園祭へ行こう! 見どころを紹介
2023年10月6日(金)
コラム
多摩美術大学

【学園祭2023】美大・デザイン系学校の学園祭へ行こう! 見どころを紹介

美大・デザイン系の学校の学園祭日程は、デザインノトビラ「イベントをさがす」ページから検索できます。ぜひ活用してみてくださいね!一般的な大学とは一味違う?美大・デザイン系学校の学園祭 写真提供:武蔵野美術大学 写真提供:武蔵野美術大学  学校生活の雰囲気や楽しさに触れることができる学園祭。オープンキャンパスとはまた異なる視点で学校を知ることができます。中でも、ものづくりにおいては一味違うのが美大・デザイン系学校の学園祭です。絵画、彫刻、工芸、建築、デザイン……さまざまな領域でものづくりを学ぶ学生が協力してつくりあげるため、構内を彩る装飾やポスターなどの制作物には気合の入ったものが多く見られます。また、作品展示や作品・手作りグッズの販売がおこなわれるのも特徴のひとつ。本記事では、そんな美大・デザイン系の学校でおこなわれる学園祭の魅力を、写真とともに紹介していきます!※具体的なプログラムの内容については各大学の情報を参照ください。学園祭の検索は「 イベントをさがす」ページへ学園祭のここが見どころ!3選■その1 目にも楽しい模擬店に注目学園祭と聞いて、まずは模擬店を思い浮かべるという人も多いのでは?のぼりや看板、着ぐるみなどでお客さんを呼び込むのは定番の風景ですが、美大・デザイン系の学校のなかには凝った外観で人を集めるお店があります。アイデアもそうですが、実際にかたちにできてしまうところは、さすが普段からものづくりに励む学生たち。メニュー表のグラフィックやお店・商品のネーミングにいたるまで創意工夫が見られたりするので、ぜひ細かい部分も注目してみてください!写真提供:多摩美術大学 写真提供:多摩美術大学 ■その2 作家・アーティストの卵の作品も?フリーマーケットがアツい!手づくりのキーホルダーや小物、アクセサリー、イラストや写真のポストカード、Tシャツ、陶芸品……学生によるさまざまな手づくり品が販売されるフリーマーケットは美術・デザイン系の大学・学校ならでは。学生の手づくり品だからといって侮ることなかれ。中には既製品に負けない、かなり本格的なつくりのものもあります。普段行くようなお店では手に入らない、ここだけの一点ものに出会えるかもしれません!写真提供:東京造形大学 写真提供:東京造形大学 写真提供:多摩美術大学 写真提供:多摩美術大学 ■その3 学校全体が美術館!作品展示をじっくり楽しむ学科やコース、研究室、有志グループなどが企画し、普段の創作活動を発表する作品展示。学業の集大成として4年次におこなわれる卒業制作展とは異なり、さまざまな学年の作品を通して日頃の学びの様子を垣間見ることができます。また、開設されている学科やコースによりますが、絵画、彫刻、デザイン、工芸などの作品展示のほか、舞台の上演やアニメーションの上映、ファッションショー、ダンスパフォーマンスなどがおこなわれる大学・学校も。学科やコース選びに迷っているという人は、学園祭でさまざまなジャンルの表現に楽しみながら触れてみるのがおすすめです。写真提供:武蔵野美術大学 写真提供:東京造形大学 写真提供:東京造形大学 写真提供:多摩美術大学 夏のオープンキャンパスを逃した人は特に注目!進学コーナー高校生も多く集まる学園祭。受験生向けに進学相談コーナーや説明会、資料配布、入試参考作品の展示などをおこなう大学・学校もあります。オープンキャンパスに行きそびれてしまったという人は、この機会にチェックしておきましょう。また、学園祭は在学生との交流のチャンスでもあります。もし進学コーナーがなかった場合でも、会場の在学生に勇気を出して声をかけてみましょう。受験に役立つ、生の情報を得られるかもしれませんよ。写真提供:多摩美術大学 写真提供:多摩美術大学 学園祭の開催情報を調べよう!写真提供:武蔵野美術大学 学生たちによる、ものづくりへの熱意やこだわりを存分に感じられるのは美大・デザイン系学校の学園祭ならでは。また、進学を考える人にとっても、大学の色を知ることができる貴重な機会です。デザインノトビラでは、そんな学園祭を簡単に検索できます。「イベントをさがす」ページの「イベント種別」で学園祭を選択して、ぜひ探してみてくださいね。※本記事の掲載写真は2022年度以前に開催された学園祭で撮影されたものです
2023年9月11日(月)
インタビュー
多摩美術大学

多様な領域で活躍するデザイナーの「考える力」を鍛える。多摩美術大学統合デザイン学科での4年間

グラフィックやプロダクト、インターフェースなど、従来の領域の区分を取り払った新しいデザイン教育の場として、2014年に設立された多摩美術大学統合デザイン学科。日本を代表するプロダクトデザイナー・深澤直人さんが学科長を務める本学科は、第一線で活躍する講師陣による講義はもちろん、「デザイン」という考え方そのものを学び、実践するための力を身につける多様なカリキュラムが大きな特徴です。1・2年次では基礎科目として「デザインベーシック」を学び、3・4年次においてはゼミ形式の「プロジェクト」を通して、学生たちは課題と卒業制作に取り組んでいきます。「美しい社会を構想し具体化できるデザイナーを育てる」ことを目的に掲げる本学科の4年間を通して、学生たちはどのような力を身につけ、卒業後の進路に活かしていくのでしょうか?本学科のプロジェクトを担当するアートディレクター・クリエイティブディレクターの永井一史さんと、コグニティブデザイナーの菅俊一さんに、統合デザイン学科での学びの醍醐味をお聞きしました。<関連記事> 好奇心と美意識を育む、多摩美術大学統合デザイン学科の「教育のデザイン」とは?永井一史×菅俊一インタビュー(デザイン情報サイト「JDN」)「すべてはデザインである」からはじまる4年間の学び―本日は、多摩美術大学統合デザイン学科のカリキュラムについてお聞きできればと思います。まずは、おふたりのご経歴をお話しいただけますか?永井一史さん(以下、永井):僕は多摩美術大学のグラフィックデザイン学科を出てから博報堂に就職し、広告制作やコミュニケーションデザインの仕事をしてきました。その後、博報堂内の新しい組織でブランドコンサルティングを手がけるようになり、2003年に代表取締役として「HAKUHODO DESIGN」を設立し、現在はおもにブランディングの仕事をしています。永井一史(ながい かずふみ) HAKUHODO DESIGN代表取締役社長/アートディレクター/クリエイティブディレクター/多摩美術大学統合デザイン学科教授 1985年に多摩美術大学卒業後、株式会社博報堂入社。2003年には株式会社HAKUHODO DESIGNを設立。毎日デザイン賞、クリエイター・オブ・ザ・イヤー、ADC賞グランプリなど受賞多数。 https://www.hakuhodo-design.com/菅俊一さん(以下、菅):僕は慶応義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)で学部時代を過ごし、作曲や音響合成アルゴリズムの研究をしていました。その後、大学院でニューロサイエンスの知見を応用したアニメーション表現を研究し、卒業後は「ピープル」という知育玩具のメーカーで、乳幼児向けの知育玩具の研究企画開発に取り組んでいました。それと並行して、NHK Eテレの『0655/2355』の制作や、書籍の出版、作品展示などを行なっており、2014年に統合デザイン学科に着任し、現在にいたります。菅俊一(すげ しゅんいち) コグニティブデザイナー/多摩美術大学統合デザイン学科准教授 人間の知覚能力を基盤としたコグニティブデザインの考え方による行動や意志の領域のデザインを専門としており、近年は視線による共同注意を利用した、新しい誘導体験を生み出すための表現技術について探求している。https://syunichisuge.com―統合デザイン学科は、デザインを領域ごとに分けるのではなく、「統合されたデザイン」を学ぶことが大きな特徴です。とはいえ、これからデザインを学ぶ10代の学生にとっては、少し理解するのがむずかしいようにも思えるのですが、1年生にはどのように説明をされていますか?永井:いちばん最初の授業で、「すべてはデザインされている」という話をするようにしています。たとえば、このインタビューという場も、最終的なゴールである記事制作のプロセスとしてデザインされていますよね?学生たちがこれから取り組んでいく課題解決や、情報を集めることもデザインであり、具体的なかたちをつくることもデザインだということです。―菅先生はいかがでしょうか?菅:人間の知的な活動というのは、すべてデザインとして捉えられると思うんですね。仕事や生活を営む中で、考えたり、ものをつくったりすることのすべてにデザインは含まれています。ですので、分野としてデザインを学ぶのではなく、デザインという考え方そのものを学ぶことで、いままでわからなかったことがわかるようになりますし、それは世界を理解するためのツールにもなり得るという話をしています。―学生さんたちの反応はどうですか?永井:いきなり全部を理解するのはなかなかむずかしいとは思いますね。学生たちに「デザインってなんだと思う?」という質問を必ずしているんですが、「課題を解決することです」「幸せを生み出すことです」など、その時点で多様な意見が出てきます。学生たちには、4年間で知識を身につけて、自分なりの実感を持ってデザインのことを理解してもらえたらと思っています。菅:専門選択科目である「統合デザイン論」では、学科の先生方それぞれの考えによるデザインの話をしています。学生たちにとっては、いままで聞いたことのない視点ばかりだと思うんですが、1・2年次の基礎科目で手を動かしていく中で、先生方の言葉がわかるようになっていきます。そうやって、学生たちには入学前とはまったく違うデザインの考え方を身につけてほしいと考えています。目と手を鍛えるための基礎科目「デザインベーシック」―統合デザイン学科のカリキュラム についてお聞きしていきます。まずは1・2年次の「デザインベーシック」について教えていただけますか?菅:初年度の基礎教育である「デザインベーシックI」では、「見る=目を鍛える」「つくる=手を鍛える」ことを軸に科目を設定しています。グラフィック基礎・プロダクト基礎・インターフェース基礎・描写の4科目がありますが、基本的には平面で情報を扱う際のものの見方と、立体物の制作技術およびそれらの関係性を学んでいきます。たとえば、僕が担当しているインターフェース基礎は、「もの」と「もの」の境界について考えていく科目です。目で見る、皮膚で触るなど、人は感覚器を使ってどのように世界を把握しているのか、そして把握したものをどうやってアウトプットしているのか。そういったことを考えるための頭の使い方を学んでいきます。統合デザイン学科では「広く・深く」教えているので、異なる手法や技術を同時に学びながら、その中にある共通点や違いを知ることで、ものをつくる上での基本的な考え方や目線を徹底的に身につけることができます。2年次の「デザインベーシックII」では、具体的な表現技術を学んでいきます。文字の扱い方を学ぶ「タイポグラフィー」や、情報を集約して可視化する「ダイアグラム」、情報と身体をつなぐ関係を考える「インタラクション」、立体的な思考と造形技能を学ぶ「造形技法」など、3年次からはじまるゼミ形式の「プロジェクト」に取り組む上で必要な表現技術が網羅される構成になっています。―それぞれの科目を教える上で、学生たちに意識して伝えていることはありますか?菅:課題を出す前に、「これはなにを身につけるための課題なのか」をきちんと話すようにしています。学期末や年度末のタイミングでも、いままでやってきたことが何だったのかを振り返ることで、学生たちの頭の中で学んだ内容と体験が体系化されるような伝え方をしています。―学び方そのものをデザインしていくような感覚でしょうか。永井:それは意識していますね。俯瞰した視点でデザインを考えられることは統合デザインの「芯」でもあるので、講義で聞いた内容を、学生たち自身が演習を通して意味づけできるような、そんなカリキュラム構成になっていると思います。課題を通して自分自身のテーマを発見する「プロジェクト」と「卒業制作」永井プロジェクトの様子―3年次からは、ゼミ形式の「プロジェクト」を選択します。永井プロジェクトと菅プロジェクトには、どんな学生が集まりますか?永井:僕のプロジェクトでは、自ら課題を発見し、アイデアを考え具体的なかたちにし、それをきちんと伝えることができる人を目指しているので、そこに関心のある学生に来てもらうようにしています。―まずはどのような課題に取り組むのでしょうか?永井:抽象度の高い課題に取り組んでもらうことが多いですね。1・2年生までは明解なルールに基づいた課題が多いので、3年生になったタイミングで、課題の自由度を上げていきます。たとえば、「新しい光をデザインしなさい」という課題。これは、必ずしも「照明をつくりなさい」ということではないんです。光をどのように解釈し、どのような手段でかたちにするのかを考える課題で、「明るさ」を体験するための真っ暗なスペースをつくる学生もいれば、グラフィックや映像で光を表現する学生もいます。永井プロジェクトの学生の作品。「新しい光のデザイン」をテーマに、点字への理解や関心の入口となるトランプが制作された。永井:もちろん、突然抽象度が上がるので「なにをやったらいいんですか?」と悩む学生もいます。なので、まずは導入として「既存のものをかけ合わせて新しいものをつくりなさい」という課題を先に出しています。組み合わせによって新しいものが生まれることをイニシエーション(通過儀礼)として体験してから、自由度が高い課題への準備をしてもらう感じですね。一方で、社会連携を取り入れた課題にも取り組んでもらっています。たとえば、今年度は僕たちと同じ東京・上野毛にある「日本菓子専門学校」と連携して、五感についてリサーチしながら、新しいお菓子体験をデザインする課題に取り組みました。最終的には、日本菓子専門学校の方々に実際に食べられるお菓子として制作していただき、今年の11月には玉川高島屋S・Cでの展示を予定しています。―菅先生のプロジェクトはいかがですか?菅:僕自身が変なことをやっているので、ちょっと変わった学生が来ること多いんですけど(笑)、基本的には、僕が専門としている行動や判断の手がかりとなるデザイン=「コグニティブデザイン」に関心がある人が多いです。僕のプロジェクトでは、1・2年次では扱わなかったテーマの課題に取り組んでもらっていて、まずはこちらからフォーマットを指定するようにしています。たとえば、小さなレーザープロジェクターを使って、手をスクリーンにした場合の映像表現について考えてみる。通常は、平面の壁に映像を四角く投射しますが、手のような隆起した複雑な形状のものに光を当てる場合、映像表現はどのように変化するのか。学生にとってはいままで考えたことがないような特殊なフォーマットではあるんですが、条件があることで学生の創造性が発揮されるような課題を設定するようにしています。学生たちには、2週間に1回ぐらいのペースで次々と課題に取り組んでもらいながら、徐々にテーマの抽象度を上げていきます。その中で、自分がアイデアを出しやすいのはどんなフォーマットなのかを考えながら、自分自身の考え方そのものを意識できるようにしています。「手をスクリーンにした場合の映像表現」をテーマとした菅プロジェクトの様子菅プロジェクトでの作品発表の様子―4年次の卒業制作に取り組む上で、学生たちはどのようにテーマを決めていくのでしょうか?永井:3年次の課題を通して、自分の心に引っかかるものや、やってみたいと強く関心が持てることを発見してもらうようにしています。その後、4年次で取り組む卒業制作は、4年間の集大成であると同時に「社会への入口」という意味もあるので、現在の自分が社会に対して何を投げかけていきたいのかを起点にテーマを探してみてくださいと伝えています。菅:僕のプロジェクトの場合は、3年次から月に1度個人面談を実施していて、「好きなものは?」「おもしろいと思うものはなに?」と、ひたすら聞いています。別に追い詰めたいわけじゃないんですが(笑)、学生たちの多くは、自分がおもしろいと感じていること自体に気づいていなかったりもするので。「こんな本を読んでみるといいかもしれない」「こんな考え方をしてみたらどう?」など話をする中で、自分の興味に深く気づき、それを磨いていく中でテーマを見つけてもらうようにしています。多様な領域で活躍するための「考える力」永井プロジェクトでの発表中の様子―4年間の学びを通した学生たちの成長や変化の中で、印象的だったものはありますか?菅:たとえば、もともとデッサンがうまくてグラフィックデザイナーを目指していた学生が、プログラミングに興味を持ち、映像やゲームをつくりはじめ、卒業後にはそういった仕事に就いたことがあって。自分が好きなことを突き詰めていくプロセスが、この学科の学生らしいなと思いました。―卒業後の進路としてはどのような職種が多いのでしょうか?永井:メーカーや制作会社、広告会社に就職する学生もいますが、最近の傾向としては、コンサルティング会社に入る学生もいますね。社会のなかでデザインが求められる領域が広がってきていますし、あらゆる産業の人たちが創造的な人材を求めているということだと思います。菅:学科全体として、新しい商品やサービスを考える企画職に就く人が多いんじゃないかなと思います。もちろん、デザイナーになる学生もいますし、デザイン以外の分野でのびのびと自分の能力を活かしている学生もいます。ある特定の分野に就職するというより、ゼロから自分で何かをはじめたいとか、社会をよりよくするためのお手伝いがしたいなど、学科全体で共通するマインドがあるように感じています。我々がここで教えてきたのは、なにかを美しいと感じることや、物事を考える力であり、それはいろいろな場面で必要な能力だと思います。そういった人達が社会のさまざまな分野に増えていくことで、社会全体がよりよくなっていくのではないかと。今後もしかすると、別の分野で働いている統合デザイン学科の同級生同士が、一緒に仕事できることがあるかもしれないですよね。どこに行っても先輩がいるような状況も起こり得ますし、卒業生のつながりが広がっていくことで、社会に変化をもたらせるんじゃないかと考えています。―最後に、統合デザイン学科に興味のある学生に向けてメッセージをお願いします。永井:2000年代に入ってから、デザインが関わる領域はどんどん広がっており、さまざまな社会課題の解決のためにデザインが期待されていることも増えてきています。これからも拡張していくデザイン領域に興味のある方にはぜひ来てほしいですね。菅:何か新しいことをしたい気持ちや、好奇心が強い人には、それを満たすためのものが、統合デザイン学科にはあると思います。また、毎年開催しているオープンキャンパスでは、すべてのカリキュラムの課題作品を展示しているので、実際にみてもらうことで、統合デザイン学科で体験できる学びの多様さを感じてもらいたいですね。  撮影:加藤麻希 取材・文・編集:堀合俊博(a small good publishing)
2022年9月8日(木)

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