ローマ字で『nimen』と題された作品は、絹地にモチーフとしての動植物の描画がプリントされ、「堰だし技法」と呼ばれる蝋染で丁寧に染め分けられた「スカーフ」状の作品として布地パネルにピン留めされている。さらに、その画面より3センチほど浮かせた透明なアクリル板には、ミニルーターでモチーフが線刻されている。
大小合わせて7点からなる作品群は全て正方形の矩形で、画面上部のアクリル板の木口にはテープ状のLEDライトが仕込んであり、染色された画面と重なるようにアクリルに彫られた白い線が浮かび上がり、この白い線が落とす黒いシャドーは色面と融合する。
鑑賞者はハイブランドのショーウィンドウを覗き込むような高揚感に包まれながら7つのショートストーリー(「Extinct species(絶滅種)」 「Corvus(烏)」 「Ursus maritimus(白熊)」 「Hyaenidae(ハイエナ)」「Rhopalocera(蝶)」 「Hymenoptera(蜂)」 「Flowers(花)」)に誘われていく。