「pota cup」は、愛着をテーマにデザインしたフリーユースのカップである。
物が飽和した現代において、人がプロダクトに求めるのは量や質、道具としての機能価値ではなく、より情緒的なものではないだろうか。それを「愛着」であると仮定し、愛着につながるセラミックデザインを目指した。
大人から子供まで、また子供が大人になるまで永い間使えるよう、全体のフォルムや取手を設計した。触れたときの心地よさを意識し、手のひら全体で包み込むように持てる丸みを帯びたフォルムにした。取手は子供が握りやすく、かつ大人が指を通して使える形にした。
カップの模様は、イングレーズ顔料を焼成後の生地に垂らして絵付けた。顔料の色や垂らす量によって、カップの雰囲気や、手のひらや指で触れたときの質感はひとつひとつ異なる。ひとつひとつの個性は、作り手の痕跡である。量産に適した技法、素材を用いながら、使用者が感じられる「手の痕跡」を残すことで、愛着につながる可能性のある陶磁器をデザインした。
2021年 愛知県立芸術大学 卒業・修了制作展 優秀作品賞
2023年 有田国際陶磁展 熊本放送賞