中国の南頭古城に、嶺南のシンボルとなる公共広場を提案する。伝統的な嶺南建築様式を現代の建築の要素や材料に融合させ、古城の息吹は失わずに新しい外観を持つ多元的な様式とした。
エリア1は地域住民の憩いと賑わいの場となる「総合サービスセンター」である。嶺南の伝統的建築にみられる鑊耳屋は、建物の密集する都市において、室内の蒸し暑さを軽減し、火災時の延焼を防ぐ機能を持つ。鑊耳屋の要素を取り入れながらガラスのカーテンウォールと組み合わせ、現代的なデザインに再生した。屋根は展望台にもなり、緩やかに下降して広場に繋がる。地元の人々はシェアカフェでお茶を飲み、チェスをする。本屋は嶺南文化を理解する場となる。友達で集まったり、家族や子供が遊んだり、のんびりとした時間を過ごすことを期待して計画した。
エリア2は「当代の嶺南庭園」である。密集する高層ビルの中で、緑が生い茂り、快適な環境を提供している。庭園には動きと静けさが混在し、回廊・亭空間では、観光客と住民が座り込んで街の景色を楽しむことができる。
古城の鮮やかで多様な歴史的記憶と、人々の日常の営みを保持しつつ、同時に未来へ向かう体験をもたらしている。