TikTokをはじめ、AIを用いてユーザーに適した動画を自動的に連続再生するメディアが私たちの生活を取り囲みつつある。しかし私たちは、矢継ぎ早に流される動画を浴びるように視聴するのみで、そこに含まれる音に意識を向ける術をまだ持っていない。それらの音たちを媒介に、私たちは自らの認識のフレームを組み換え、世界を認識し、自己を認識して生きているというのに。
本作品では、これらのメディアをあえて舞台上で再生し、流れてくる動画たちを即興的な音響構築の素材として利用する。そうすることで、現在、私たちを取り囲む音たちとはどのようなものか、どのようにやってくるのか、それらを創作的に扱う可能性はあるのかを探究する。