大学生活を通してインスタレーションなど、空間を媒体とする作品を制作してきた。そのような制作を通して、「空間は物語や世界観を伝達するためのメディアになり得るのではないか」という気付きを得た。
本作では「フィクションの世界に没入する体験の研究」というテーマのもと空間や体験のあり方を探り、オリジナルの物語を体験することができる空間作品を制作した。
作品は、デジタル上の空間と現実上の空間で構成されており、鑑賞者は、研究に基づき制作されたオリジナルの物語「REMAINS」を追体験することができる。REMAINSはSF的な世界観を持つ物語だ。物語の舞台は、数十年後の未来の東京。東京は閉鎖され、誰も立ち入らぬまま、人々に忘れ去られてしまった。鑑賞者はデジタル上の空間と、現実の空間を通して、その土地に潜入し、遺された物を探したり、写真で記録を残したりしつつ、かつての文明の姿を探る。鑑賞者は、そのような体験を通してフィクションの世界に没入することができる。
KANABIクリエイティブ賞2023 卒業・修了制作部門 学長賞