本研究は、アニメーションにおける演技を研究したものである。
アニメーションの演技とは「キャラクターの動きの内容」であり、キャラクター性を表す重要な要素である。Donald Craftonはアニメーションを構成する2つの演技「Embodied acting(体現的演技)」と「Figurative acting(修辞的演技)」を提唱した(カッコ内はスティービー・スアンによる日本語訳)。Embodied acting(体現的演技)は、キャラクター特有の生い立ちや感情・身体表現などが表れている演技である。キャラクターの内面を掘り下げ深みを出すことができる。Figurative acting(修辞的演技)は、キャラクターの言動をタイプとして記号化した演技である。パロディやメタ的な要素、意図を連想させやすい。
本研究では、この体現的演技と修辞的演技の2つの要素を実際のアニメーションに落とし込み、どのような印象を与えるのかを示した。「怖がりな人がお化け屋敷を歩く演技」をテーマに体現的演技のみの場合、修辞的演技のみの場合(『アニメーターズ・サバイバルキット』の167ページで紹介されている「忍び歩き」を参考)、両方がある場合を描き分けた。