私は個人経営の寿司屋でアルバイトをする中で、寿司屋の大将と常連さんが隠語で会話をしている姿を見て、「寿司屋の符牒」に興味を持った。一方でこうした符牒は、あまり寿司屋に行かない人にとって、「訪れにくさ」や「緊張感」を与える要因になっているように感じた。
寿司業界では近年、回転寿司チェーン店の人気が高まり、個人経営店に行く機会が減ってきている。しかし、全国の寿司屋事業所数を調べてみると、法人(チェーン)の4割に対して個人経営店は約6割とまだまだ多い。このことから、「寿司屋の符牒」に興味を持ってもらうことで個人経営店に対するハードルを下げることは、寿司業界全体のメリットになると考えた。
そこで私は、蛇腹形式のリーフレットを制作した。蛇腹の各ページに一つずつ符牒を記載し、その意味や由来などの解説と、符牒にまつわるイラストを描くことで、「寿司屋の符牒」を楽しみながら知ることができる。
この媒体は、これから個人経営の寿司屋に行く機会を増やしてもらいたい、20代中盤~30代前半の若年層を対象に制作した。符牒の面白さを知ってもらうことで個人経営店に行くことへの抵抗感の払拭に繋げたいと考えている。