刺繍で覆われた作品の「3D ハンドメイド グラフィック」。機能が優れていたり実用的というわけではなく、人が見たり触ったりすることで心に働きかける作品。
作品タイトルは技法であり、触れる立体的なグラフィック。モコモコに覆われ、変哲もない見慣れたものでさえ、触り、いろんな角度から眺め、改めて存在を確認する「肌で、触ってみる」作品。
大学3年時に制作した手打ちの刺繍ワッペンがきっかけで、そこから毛糸の柔らかい印象やはっきりしない凸凹とした輪郭などが人を惹きつける魅力だと感じた。この経験から、刺繍で卒業制作をしたいと思った。
モチーフやどういった作品にするかを考えた時に、「家具はシンプルで実用的、機能性を重視する」といった風潮を感じるようになり、あえて逆にいってみたらどうなるのか?という思いから手始めにクッションを制作し、もきゅもきゅとした不思議な感触に仕上がったクッションから面白いものが作れるかもと卒業制作を決め作業に没頭した。
放っておくと毛糸に埃やゴミが絡まり手入れも大変な作品だが、触ってみたくなるし、いつもと違った目線で見ることができることの有意性を感じてほしい。