本作品の凧に印刷された色や形は全て、土・砂・植物からできている。
長野県の伊那市と、伊豆諸島の新島で採集した土・砂・植物でインクを作り、印刷を試みた。そして、採集から生まれたグラフィックを凧にのせ、採集地に戻り、地域の方達と空へと上げた。
人はあらゆるものを操作し、コントロールしようとする。「色」ひとつとっても、多くの場面ではPC上の数値などで制御された色を扱い、その範囲で色を選んでいく。しかし一歩外に出れば、移り変わる空の色や季節の変化など、世界は操作することのできない美しいもので溢れている。
本作品ではまず「色」に焦点を当て、普段扱ってきたPCや印刷機の色とは異なる色を、採集することから始めた。「欲しいものを選ぶのではなく、その場にあるものを使う」。
そのある意味、受動的な創作によって、目の前にあるのに気づかなかったものとの繋がりを紡ぎ出し、新たなコミュニケーションへとつないでいく試みである。
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