沖縄の伝統工芸として知られる「首里織」は、実は戦後につくられた概念ではないか?という問いのもと、現在に至る史実を検証した。
琉球王国時代、首里に暮らす王族や士族は、家庭内で織られた多種多様な織物を身に着けていた。沖縄戦で灰燼(かいじん)に帰した首里でその織技術は、沖縄の文化復興を願う県内外の人々の支援と行政認定を背景に、わずかに残る資料の復元を通して継承され、作家によって新たな織物へと展開された経緯が明らかになった。