準限界集落を舞台とし林業施設を計画、地域の復興をテーマとした。建設には周辺で取れる木材を使用するが、一帯は未だ生育途中の山林であり、その多くは間伐材となる。構造材として扱いの難しい間伐材を小径材として製材し、組み合わせる事でその短所を見直した。製材棟は材木を整形加工する場とした。小径材とする事で手間がかかり雇用に繋がると共に、女性や高齢者も従事し易くなる。そこでは伝統技術の伝承が行われ、端材は家具や土産物等に加工、隣接の展示棟に。郊外より訪れた人々は製材棟から運ばれてきたそのままの作品を直に見、触れ、木の香りに包まれる…。地域の生業と連携できる実習棟は、森林組合主催の森林塾や民宿女将の伝統料理教室、林間学生の学びの場として。地元愛はありながらも郊外に出ざるを得ない若者や、未だ燻る情熱に蓋をし「老い」に身を任せる人々らを繋ぐ建築、それが「林郭」である。