言葉には音的要素、意味的要素、視覚的要素の3つの他に個人の記憶や感情など見えないイメージも内在していると考え、既存の文字に捉われない個々の情動をもった文字をつくり、組み合わせることで文字(記号)でもありイメージでもあるという言葉の不確かさをビジュアル化することを試みた。
記憶や感情、祈りなど目に見えないものを言葉や音楽、絵画や踊りなど形にして表現していくことがコミュニケーションなのではないかと考える。私はその中でも「言葉と文字」の関係性について惹き込まれている。他者が発する言葉が文字になって、その文字を読んだ人が意味を想像して受け取るやりとりは曖昧でもあり誠実さも感じる。
ここでは他者に「一番記憶に残ってる夢」について話してもらい、その音波データをもとに活字ではない個人的な文字をつくり組み合わせることで、文字とイメージを融合させた1つのビジュアルをつくった。目の前の世界を模倣することで真実を伝えようとしている絵画と、音として発された言葉を伝達しようとしている文字と、この2つの狭間にあるビジュアル表現の追求である。
2023年:第71回 東京藝術大学 卒業・修了作品展 メトロ文化財団賞
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