絵そのものだけでなく「どのような人がどのように描いたのか」を同時に感じながら見てもらう作品です。題名の、自分の絵なのに他人事のような表現はこの絵を描く過程に起因しています。
この絵は完成図を決めずに始めます。描いたモノを見て描きたくなったモノを描き、またそれを見て描きたくなったモノを描く……これを繰り返します。だから常に予想外です。まるで他人の描いた絵に描き加えていくようでした。私はこの「連鎖する予想外さ」と「それを作者が面白がって描く様子」を丸ごと共有できて初めて“この絵を本当の意味で見てもらえる”と感じ、今回の作品が生まれました。
絵って意外とその実体だけをさらっと見てしまうことが多い気がしています。当たり前すぎてわざわざ考えないような「絵には作者が濃く溶け込んでいる」という部分がよりダイレクトに伝わっていたら嬉しいです。
2023年:第71回 東京藝術大学 卒業・修了作品展 デザイン賞