昨今、墓地のあり方は多様化し、都心にも建てられ、管理もしやすい納骨堂や景観の良い公園墓地が人気だ。しかし、そのどれもが墓参りに行こうと決意し、そのために赴かなければならないという、一方通行の行為に止まっている。もっと気軽に、公園に行くような気持ちで死者を悼むことがあっても良いはずだ。一方通行ではなく、行為そのものが回遊性を持つような、例えば、散歩や買い物の途中でも、通学・通勤の道すがらでも、「死」を思い返すことがあることで「生」がより輝くのではないか。
「ハレ」と「ケ」を一体と捉えるテーマから、表であり裏であるメビウスの輪を建物のモチーフに使用することで、床が屋根になり、屋根が床になるといった曖昧な場を作り出す。この街で暮らす人々が、街から墓地へ、墓地から街へと通り抜けてゆく。