この作品は家具と彫刻の二面性を持っていて、現代の軽量化や機能性を求めるデザインに反して、重くて使い方が定まっていないオブジェクト。
ものをかけるラックのような見た目をしていて、石にネジ穴が埋め込まれているただそれだけ。
人にはそれで充分で、それを何とかして使うことがデザイン的な部分であり、使う人によって形を変えていく彫刻のようにも見える。
家族がちゃぶ台を囲んでご飯を食べるような時代ではなくなっていて、空間に対して中心への意識が薄れている気がしたことから、人間が中心に集まってきて、それに対して人間の生活の痕跡が外側に広がっていく様子を表現した、家具ではない家具のような、棚に代わる形。
2025年:第73回 東京藝術大学 卒業・修了作品展 デザイン賞