「コンプレックスは個性」をテーマに、自身が10歳頃に経験した視力のコンプレックスを元に制作したアートブック。
2冊を組み合わせた珍しい本の形で、見える右目(右側の本)を写真集、見えない左目(左側の本)を写真から抽象化したポップアップ作品として表現した。本文に使ったフォントは著者が実際に小学生の頃に書いていた文字をスキャンして取り込み採用した。
物語ではみんなと同じように景色を見ることができないと気づいた左目と、それを見守る仲間として右目が登場する。左目は「自分はダメな目」と否定するが、右目との会話を通して自分にしか作れない世界を探そうと立ち上がる。ヒソヒソと聞こえてくる彼らのやり取りは人間と同じように悩んだり笑ったり。
見えないことを欠点として捉えるのではなく、他の人にはない特別な個性として受け入れて欲しいという強いメッセージを込めた。大型本なので二人並んで一緒にページをめくる読み方も可能だ。対象年齢は小学生程度だが、ぜひ大人にも読んでほしい。
第54回 文化学園大学 造形学部 卒業研究展 学長賞作品