少子高齢化問題の深刻化に伴い、死亡数も増えて火葬場の使用率も増えると想定される。火葬場は死者への送別のための建築のため、暗くて不気味な感じがすることも多いが、死別は人生に避けられない一部のため、最期を迎える場所を怖がらずに慣れるように、より人々に受け入れやすいデザインにするべきだと考えた。
人生という旅を歩んだ死者のため、そして共に歩んだ生者のため、新しい火葬場を提案した。
敷地は東京都江東区海の森で、建物の一部は斜面に埋まり、露出した部分は周囲の斜面を模した屋根で覆われ、建物を風景の中に潜ませた。この弔いの場に生命力を吹き込むため、建物の内部にはいくつか室内緑化が施されている。
元々敷地にある渓流によって建物が北棟と南棟に分断され、渓流は建物の真ん中を通って、池まで流れていく。北棟には来客用入口、事務局、二つの式場が配置された。南棟には火葬炉、待合室、霊安室が配置された。両側を繋いでいる通路が地下にある。地形に寄り添った全体外観に反して、煙突が半透明で建物内部から柔らかい光を透かし、灯台のような目印となり、独自の存在感を持たせた。