工芸

伝統技術を知り、日用品などの制作を学ぶ

デザイン・クリエイティブの世界への入り口となる「 12ノトビラ 」の各カテゴリを紹介しています。

伝統技法を学びながら、手作業による日用品などの制作を学ぶカテゴリです。さまざまな「もの」のかたちをつくることから、「プロダクト」と合わせて学ぶ場合がありますが、「インダストリアル(工業)」と表現される「プロダクト」が大量生産を前提とした設計を学ぶ一方で、「工芸」では一点ずつ手で制作する技術を学んでいきます。学部・学科によっては、「クラフト」と表現される場合もあります。


工房設備を利用した実際の制作が経験できることが特徴であり、学校によっては当地の伝統工芸の技術を実習を通して学ぶことができる場合も多いです。また、工芸技術を活かして表現の領域で活動する人もいるため、「アート」を専攻とする学部・学科の中で教えている場合もあります。

木工

カンナ・ノミ・彫刻刀などの道具の使い方をはじめ、木材の性質を理解した上での加工技術について学んでいきます。制作実習では小物などの生活用品から家具の制作も行う場合があるため、「家具」の内容と重なる部分も多いです。

陶磁

陶磁器について学ぶカテゴリです。手捻りやろくろを使用した成形技法をはじめ、加飾(絵付け)・釉薬・焼成といった制作の工程を経験することができます。実習を通して、器やカップといったテーブルウェアや花器、オブジェなどの制作を行います。国内では、有田や信楽、瀬戸、多治見といった地域の地場産業として知られています。

ウルシノキの樹液を活用した着色・接合技術である漆について学んでいきます。器や家具などに漆を塗り重ねる加飾技法をはじめ、必要な道具の使い方などを、実習を通して身につけていきます。木の器といった小物や木製家具に加飾することが多いことから、「木工」とあわせて学ぶ場合もあります。

染織

染色と織物の知識と技術を身につけていきます。繊維や素材について知った上で、さまざまな染料や顔料を用いた染色の知識と技術、織りの技法などを、実習を通して身につけていきます。模様のデザインについて学ぶ場合も多いため、「テキスタイル」と合わせて教えている学部・学科もあります。

ガラス

ガラスの特性について理解し、さまざまなガラスの加工技術について学んでいきます。吹きガラスに代表される、ガラスを熱して加工する「ホットワーク」と呼ばれる技法や、冷えたガラスに切削加工などを施す「コールドワーク」、石膏型を使用した鋳造による成形技法など、ガラス工芸に必要な技術を学んでいきます。

金属

銅や真鍮、貴金属といったさまざまな金属の特性を理解し、鋳造、鍛金、彫金といった成形技法から、接合や曲げ加工、着色などの加工技術について学んでいきます。制作実習では、日用品のほかにもジュエリーをつくる場合もあるので「アクセサリー」とも関連のあるカテゴリです。


参考文献

  • 勝井三雄、田中一光、向井周太郎監修、伊藤順二、柏木博編集「最新 現代デザイン辞典」平凡社、2017