[最優秀賞]
歯切れ良く軽やかに、そして何よりも自由に奔放に。
200号の大作2点を含め、4ヶ月で描いた作品は24点に上る。旅先や日常の何気ない一コマが、伸びやかなストロークと新鮮な色彩によって全く別物の絵画空間へと軽々と姿を変えてゆく。何でも絵になるとはまさにこのことか。
こだわりを持って描きこむ部分と偶然性に委ねる部分、そして絵の具の扱いや素材の采配の振り幅の広さ、それらがこの作品群をより活き活きとしたものにしている。さらに驚くべくは、夥しいドローイングとこれらの油彩作品が全くのシームレスであることだ。支持体が紙でもキャンバスでも、着彩素材が何であろうとも、そこに介することも臆することもなく、呼吸するかのようなリズムでスッと画面に手が入る。
3年次の演習「100点ドローイング」で彼女の感覚は一気に開花した。国立新美術館で開催された企画展「DOUBLE ANNUAL 2023」にも選出され、そこには今回とは別の作品群が展示された。次を見据え制作を止めないこの勢いを、頼もしく見ている。