コンクリート・ポエトリー(空間的・視覚的に文字を配置した詩のジャンル)の表現方法を取り入れたグラフィック表現。漢字の持つ特徴である、「意味性」や「画数の違いによる密度の変化」、「線の強弱によって生まれるニュアンスの違い」といった性質を生かして制作を行った。
梶井基次郎著「桜の樹の下には」を題材に、作中の表現から引用した文字を利用して桜の樹を模した形を作成した。根には「屍」「尸」「鬱」、幹には「晶」「水」、枝には「咲」「美」「生」といった文字を使用し、「桜の樹が醜さや恐ろしさを吸い上げ、美しい桜を咲かせている」という様子を表現した。