木工家具を作る際、木取りやパーツの切り出しの時点で生じる端材を最小限に抑えた椅子のデザインを提案しようと考えた。
板材を切り抜いたパーツから構成された椅子の先行事例を調査した結果、平らな板材を使うため体に沿った形状は作りにくく、多くの場合、座り心地が犠牲になっていると考えた。
そこで、エルゴノミクス的データ(快適な姿勢を作る座面や背もたれの角度など)に配慮しながら身体に沿った「包み込むフォルム」を、板材の組み合わせ方を工夫することで実現することをデザインコンセプトに定めた。
厚紙を用いたモックアップで様々な構成の可能性を検討した後、3DCAD上で各パーツ同士の接合角度や板材から切り出す際に生じる端材の形状と大きさのシミュレーションを行い、最終提案にたどり着いた。パーツ切り出しの際の配置を工夫することで、無駄になる端材の体積をもととなる板材の20%に抑えることができた。