ある外国のネットニュースに掲載されていた「1枚のQRコード」が写った写真を私は興味本位で読み取った。すると自分のスマートフォンには、飲食店のメニュー表が写し出されたのだ。遠く離れた日本の地でも海外の飲食店にいるような高揚感と共に、どこか不思議な感覚を味わった。この出来事がきっかけとなり、「見ること」と「食べること」が同居し、「見ること」と「訪れること」の境界線が曖昧になっていることに気づく。
本作は自ら収集してきた飲食店のQRコードメニューを皮切りに、関連する地を、虚と実を交えながら訪れていく旅である。遠い地の料理を見て想像しても、実際に食べることだけはできない。虚像と実像を行き来することで、そんな着々と変わりゆく生活様式を垣間見ることを試みている。
2021年:写真学科スペシャル2021 大和田良賞受賞
2021年:東京工芸大学同窓会会長賞受賞
2022年:写真学科スペシャル2022 グランプリ、大和田良賞受賞
2022年:フォックス・タルボット賞 奨励賞受賞