高齢者施設の入所者の多くは施設の外の環境を感じる機会が少なく、そのことが認知機能の低下につながるという問題がある。本研究では、仙台市の特別養護老人ホーム大年寺山ジェロントピアを対象に、入所者が自然と季節を感じられる空間を施設内にインスタレーションとして表現し、さらに他者との交流や創造活動をベースとした、日常に変化を与えるきっかけとなるヘルスケアアートを提案した。
ヘルスケアアートの鑑賞と参加による高齢者の認知機能への影響を明らかにするために、施設内にいながら非日常空間として、外部の環境をリアルに感じることができる、植物で季節を表現したインスタレーションの制作を行なった。また、夏、秋、冬の3シーズンごとに新たなインスタレーションとして表現し、実際の外部の環境の変化を入所者にも感じてもらえる空間を表現した。入所者自身にも空間づくりの一員という意識を持たせるために、夏は風鈴づくり、秋は押し花づくり、冬にはオーナメントづくりのワークショップを実施した。