明治5年に福島県新地町に開校した学校、観海堂は、長らく町のシンボルであったが、東日本大震災の津波により流失した。地元では今でも観海堂跡地として大切に語り継がれており、これを再現することは新地町復興の貢献につながると考えた。そこで本研修では、被災前の観海堂を3DCGで再現することを目的と定めた。
できるだけ正確に再現するために、インターネットでの情報収集のほかに、新地町役場から寸法、間取りについての詳細な記録資料や当時の写真を入手し、参考にした。また、制作途中のデータを実物を知る地元住民に見せ、細かい違いを修正しながら、当時の状況をより忠実に再現しようと努めた。
完成した3DCGは、一人称視点のキャラクターをPCのキーボード操作し、内外から観賞することができる。またヘッドマウントディスプレイを装着することで、より没入感のある体験ができる。本作を2024年10月に開催された「SHINCHI Art Fes 2024」に出品したところ、来場者から「当時の観海堂を思い出した」、「懐かしいと感じた」といった高い評価を得ることができた。