ウルシの伐採木のリサイクルを目的に、二種類の時計の制作を行った。ウルシの木には「樹皮の掻き傷」と「黄色い材色」が特徴として見られる。
そこで一つ目は、切り出した黄色い表面の文字盤と樹皮に入った掻き傷を見せる置き時計を制作した。多く付けられた掻き傷から漆掻き職人の樹液採取の様子やその背景にある思いや願いを知ってもらいたいと考える。樹皮部では経年劣化やかぶれ成分の残留が懸念される。そこで、木工用ボンドで剥がれを抑え、ウレタン塗料で厚塗りをして表面を固めた。
二つ目は、ウルシの切り株断面に入った年輪から木の成長時間を感じてもらう掛け時計を制作した。文字盤は両時計とも素材本来の黄色味を引き立たせるために、樹皮部と同じウレタン塗料を塗っている。ウルシの和とレトロな雰囲気と7が「漆」を表すことにちなんで行書体の大字・漢数字の並びとしている。
本作品をきっかけに、多くの人にウルシの木を知ってもらえることを願う。