環境温度を変化させることで、同じ香りでもさまざまな印象を与えられる可能性がある。本研究の目的は、温冷覚情報を変化させることで、同一の嗅覚情報から異なる印象を想起させる可能性を明らかにすることだ。
被験者10名を対象に、複数のアロマオイルの中から花と木をそれぞれイメージさせるものを選択させた。選択された複数のアロマオイルを調香し、抽象的な花と木をイメージさせる嗅覚刺激を作成した。そして日本国内における「寒冷地」「温暖地」「中間地」を模した3つの温度の異なる環境を温冷庫によって再現し、その環境下で作成した嗅覚刺激を呈示し、印象を評価させた。
被験者16名を対象とした実験結果から、同じ香りでも温度を変えると受ける印象が変わること、温度の差を大きくすると与える印象も大きく変わることがわかった。これらから、温冷覚情報を変化させることで同一の嗅覚情報からでも異なる印象を想起させる可能性を明らかにできた。