高齢者施設では運動補助をおこなう仕事があり、高齢者の運動機能の維持、向上に努めている。しかし身体機能の低下が原因で、利用できる運動用具には安全を考慮したものなどの制限がある。これらを満たすものに椅子の座面が上下する「LaLaCoチェア」があるが、最適な利用方法について明らかではない。そこで本研究では被験者8名の協力のもと、下肢4つ、上肢4つの筋肉を対象に、立ち位置や動作の異なる15個の運動を提案し、筋電センサを用いて筋電位の分析と比較をおこなった。
その結果、7つの筋肉で「LaLaCoチェア」と身体が近い状態で、5つの筋肉で10回の押し込み運動でより大きな筋電位を示し、通常使用との比較で筋電位が平均で約21倍大きくなった。一方で、被験者が辛いと感じた正座での運動では通常の約6倍の大きさであったが、先程の平均倍率を大きく下回った。このことから、感覚頼りの運動では自己満足的なトレーニングとなることも明らかとなった。